ジェイミー・ジョセフHCが率いたラグビー日本代表は、史上初のベスト8進出を果たした。ブレイブ・ブロッサムズの選手たちは、ピッチからテレビへ活躍の場所を移している。もうしばらくは、ラグビー選手が人々の関心を集めていきそうだ。

 2015年のW杯後も、ラグビー熱は高まった。南アフリカを撃破しただけでなく、史上初の大会3勝という結果を残したことで、五郎丸歩らの主力選手が脚光を浴びた。W杯後のトップリーグの観客動員は、1試合平均で前シーズンからおよそ1700人増えた。それまで4000人台だったものが、6470人になった。

 ところが、W杯の余熱が冷めると観客動員も減っていく。今回のW杯前の18−19シーズンは、1試合平均が5153人だった。15年のW杯前の水準にまでは落ち込まなかったものの、新規のファンをしっかり取り込むことはできなかった。

 日本代表の敗退とともに、「ラグビー人気をどう定着させるのか」がテーマとなりつつある。

 競技としての将来性は、結果と普及が両輪になる。国内トップレベルの代表チームが国際舞台で結果を残しつつ、幅広い層に競技に馴染んでもらうのだ。普及は国際舞台での結果が大きな引き金に成り得るので、いまの日本ラグビー界は“黄金の好機”を迎えている。

 ここでラグビーに立ちはだかるのが、競技の特殊性だ。

 学校の体育で誰もが経験する競技ではなく、野球やサッカーのように近所にチームを見つけるのも簡単ではない。難しい、と言ったほうがいい。
 
 サッカーはフットサルの、バスケットボールは3オン3の力も借りて競技人口を伸ばし、小中高生はもちろん社会人になっても楽しめるスポーツになっていったが、ラグビーの7人制はそこまで身近ではない。気軽にできるかどうかという普及を促す第一歩で、ラグビーは最初からハンディを背負っていると言うことができる。

 松島幸太朗、福岡堅樹、姫野和樹、田村優、流大、稲垣啓太ら、今回のW杯は新しいスター選手を多く生み出した。4年前にスポットライトを浴びたリーチマイケル、田中史朗、堀江翔太らも、再びクローズアップされている。子どもたちが憧れる存在が、それだけ増えたわけである。彼らのようになりたいと思う子どもたちの受け皿を、少しずつでも整えていきたい。

 しかし、現実的にはハードルが高い。

 子どもたちに親しんでもらうには、プレーできる場所を確保し、安全性を担保することが大切になる。安全性の担保を請け負うのは指導者だ。楕円級に安全に楽しく触れあってもらうには、ラグビー経験のある指導者の存在が欠かせない。ラグビーの指導がボランティアではなく仕事として成り立つ仕組み作りが、普及のためには必要になっていく。

 W杯の熱を持続させていくための素早い一手は、トップリーグから魅力を発信していくことだ。普及の土台となる環境作りには時間がかかるが、こちらはすぐに打てる手がある。

 トップリーグの開幕を来年1月まで待たなければならないのは、率直に言ってもったいない。W杯を戦った選手たちには休養が必要で、各クラブのチーム作りに時間がかかる。それなりの準備期間を、設けなければならない。それは分かっているのだが、いまこの瞬間の熱を国内リーグへ持ち込めないことに、歯がゆさを覚えてしまう。代表選手たちの雄姿を観ることのできない2か月以上の空白期間が、とても恨めしい。

 それならば、トップリーグはどのようにして新規のファンを迎え入れようとしているのだろう。きわめて重要なその点については、色々と考えさせられるところが多い。(以下、次回へ続く)