休職者が出ればパワハラを疑われ、あいた穴は部下に残業させるわけにいかないので、結局自分で埋めるハメに。管理職はつらいのだ ※写真はイメージです

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 2019年8月、ネプチューン・名倉潤が手術の“侵襲”によるストレスが原因のうつ病を公表したことは記憶に新しい。このように、それまで何の前ぶれもなく元気だった人が、意外な理由やきっかけで“急に”うつ状態になってしまう例は多いという。

◆突然うつになった部下を持つ中間管理職の本音

 突然うつによる社員の休職や退職は、今どき珍しいことではない。

「ただでさえ人員不足でギリギリの企業が多いなか、働き方改革の推進により、労働時間の短縮、作業の効率化、生産性の向上を急ピッチで進めるムードが高まった。こうした急激な変化に心身が適応できず、コップの縁すれすれまで溜まった水のようにストレスを溜め込んでいる人が実は多い。すると、仕事と関係がなくとも些細なきっかけで突然水があふれ、うつ状態に陥るんです」(人材育成コンサルティング企業代表の前川孝雄氏)

 だが、抱えていた業務をほかの社員で分担するため、仕事の負担はさらに大きくなる。

「部下がメンテ作業中に『もうアカン』と突然叫んで号泣。そのまま退社しました。代わりに入ってきた社員は未経験者ばかり。作業効率は明らかに悪くなっているのに上からは『作業スピードが遅い!』と叱責されるし、やってられませんよ」

 そう語るのは、機械メンテナンス会社課長の富澤洋さん(仮名・45歳)。現場を理解しない上層部に憤りを感じているとか。

「いまだにサービス残業を強いる職場で、うつになった部下は会社の犠牲者だと思っています。それでも会社からは上司である私のせいだと言われ、休職者の穴埋めは結局、管理職の自分がやっている。査定ダウンで夏のボーナスも減額。こっちもうつ病になりそうですよ」

 一方、通信設備メーカー課長の大林寛さん(仮名・44歳)は、「会社に文句を言っても仕方ない」と半ば諦めの境地だ。

「30人ほどの職場ですが、この3年で5人がうつ病を理由に突如ドロップアウト。以前は引き継ぎできずに業務に支障が出ましたが会社は何もしてくれず、今は突然いなくなっても対応できるよう自分たちで普段から仕事の情報を共有しています」

 休職した部下のことはどう思っているのだろうか?

「早く復帰してほしいと思う半面、上司としてどう接すればいいか困る部分もある。何げない会話でも相手がプレッシャーに感じたり、指示ひとつ出すにも気を使いますね。しかも、半数以上の社員は就業制限や配置換えせざるを得ない。取引先との折衝を行うウチの部署では戦力にならず、人事に報告して負担の少なそうな倉庫勤務などの閑職に異動となった部下もいます」

 突然うつで悩んでいるのは本人だけではないのだ。

【前川孝雄氏】
Feel Works代表取締役。青山学院大学兼任講師。独自開発した上司力研修、50代からの働き方研修などで400社超を支援。共著に『一生働きたい職場のつくり方』(実業之日本社)
<文/週刊SPA!編集部>

―[[突然うつ]の恐怖]―