「和食=ヘルシー」って本当?身近すぎて見過ごしがちな和食の健康効果とは

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◆「和食=ヘルシー」って本当?身近すぎて見過ごしがちな和食の健康効果とは

11月24日は「和食の日」。一人ひとりが「和食」文化について認識を深め、和食文化の大切さを再認識するきっかけとなるよう制定されたそう。世界でも「ヘルシーな食事」というイメージを持たれている和食だけど、実は漠然と「ヘルシーそう」というイメージを持っている人も多いのでは? 身近すぎて見過ごしがちな和食のよさ、そしてどのように食べると健康や美容にいいのか? 管理栄養士の米倉れい子さんに伺った。


私たちの食卓に日々並ぶ「和食」は食事の“バランス”が秀逸!
「和食は健康にいい」とよく言われるけれど、なぜそうなのか、実はよく知らない人も多いのでは?
「日本人が毎日食べている和食は、一汁三菜を基本とした主食、主菜、副菜がそろったスタイルで、食事全体としてのバランスがいいのです。主食は炭水化物など体と脳のエネルギー源となるもの、主菜は体を作るもので肉や大豆、魚などのたんぱく質などが中心。副菜は、体の働きを整えるビタミンやミネラル、食物繊維を多く含んでいます。ご飯を中心として、3つの要素をとるこの食事のスタイルが、健康的に暮らすために実は大切と考えられています(※)」と米倉さん。栄養学に詳しくなくても、3つの要素を意識して取り入れることで、栄養のバランスが自然と整いやすい、というのは大きなメリットと言えそう。

偏った食品だけを食べるダイエットの危険性は、かなり浸透し、知っている人も多くなっているはず。健康のために必要ことは、必要な栄養素を無理なく偏りなくとること。身近すぎて見過ごしがちだけど、日本の伝統的な食事スタイルは、栄養学的にも利にかなっているよう。

※農林水産省「日本型食生活」のススメによる


「だし」を使って、おいしく減塩。発酵食品も手軽に毎日の食生活で活用
和食のもうひとつの特徴は「だし」。「だし汁をうまく使うことで、塩分の摂りすぎを防ぐ効果もあります。上手に使うことで、おいしくなるだけでなく、家族全体の健康管理にも役立ちますね。また、昆布や椎茸などの乾物は、干すことでビタミンDも増し、おいしさと栄養も楽しめます」と米倉さん。切干大根もおすすめなんだとか。水に戻しておいてそのまま味噌汁にすると、いいだしが出て味噌の量を減らせるそう。

「味噌汁に使う味噌や醤油などの調味料、漬物や納豆などの発酵食品も手軽に使える和食の1品ですね。漬物などは日持ちもするので、自分で漬けることができなくても、スーパーやコンビニなどで買って常備しておくのもおすすめです」(米倉さん)。難しく考えず、和食ならではの素材を、もう一度見直してみては?


旬の食材は栄養価も高い!「食事しよう」という気持ちの切り替えも実は大切
ほかにも、日々の生活に取り入れられることは?
「和食は季節感を大切にしますよね。旬のもの、その季節の野菜や魚などは、おいしいだけでなく、栄養価も高いと言われています。料理するのが難しい人も、外食のときに、旬の食材を選ぶようにするなどしてみては?」(米倉さん)。特にこれからの時期、秋から冬にかけては、脂がよくのっている魚も多いので、EPAやDHAといった不飽和脂肪酸の摂取も期待できそう。新米やキノコなども出てくるので、より和食を食べたくなりそうだ。

「また、食事のときにはランチョンマットを使ってみるのもおすすめです。たとえコンビニで買ってきた食事だとしても、PCのまえでそのまま片手で食べるのではなく、ランチョンマットだけでも敷いて食べる。『食事しよう』という気持ちの切り替えができます」と米倉さん。毎回はできなくても、できるときには食事をしっかり味わう、メリハリをつける気持ちは、心に留めておきたい。
「食事には『これが正解』というものはありません。嫌いなものや口に合わないものを食べても続きませんよね。また、健康を意識したい場合、自分なりに無理なく、長く続けられる食事スタイルを持つことが大切です。和食を中心とした食卓で、楽しく、おいしく、バランスよく食べる。自分なりに実践できる形を見つけたいですね」(米倉さん)。

教えてくれた人
米倉れい子さん
株式会社 食STORY代表。管理栄養士。スポーツ選手や運動愛好家、ビジネスパーソンなどを中心に、スポーツと食を絡めた日々の体調管理やパフォーマンスの向上、健康的な食生活の実践方法などを紹介。また、2008年から約10年間、厚生労働省において栄養・食生活に関する施策の企画立案や推進を担当した経験を踏まえ、現在は、食品企業等を中心に、栄養成分表示の作成支援にも力を入れている。