閣議で辞表を提出したことを表明し、記者団の質問に答える菅原一秀経産相=25日午前、国会内(春名中撮影)

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 菅原一秀前経済産業相が25日、自らの公職選挙法違反疑惑を報じた週刊誌の発売翌日の「スピード辞任」に至ったのは、安倍晋三首相の意向による事実上の更迭劇といえる。

 政権に与える打撃を最小限にする狙いだが、菅義偉官房長官が菅原氏の入閣を働きかけた経緯があり、与党内には「側近人事が甘かった」との批判がくすぶっている。閣僚の辞任が続く「辞任ドミノ」への警戒もある。

 「重要な行政、政策立案分野において一刻の停滞も遅滞も許されない」。首相は25日、菅原氏の辞任を受け、官邸で記者団に厳しい表情で語った。

 菅原氏は24日深夜に更新したブログで「明日、国会でお話をする」明記し、25日の衆院経産委員会で説明する意向を示していた。

 しかし、菅原氏はその前に官邸で首相に辞表を提出した。首相はその後10分とたたないうちに後任の梶山弘志経産相を官邸に呼んで就任を打診。午後には皇居での認証式に臨んだ。

 首相周辺によると菅原氏の辞任が事実上固まったのは24日夜だったという。「首相は報道が出る前から判断していた。総合的に考えた」と説明した。

 外堀は早くから埋まっていた。野党は24日の段階で菅原氏の説明がない限り一切の国会審議に応じない姿勢を示していた。後半国会は日米貿易協定案や憲法改正の手続きを定める国民投票法改正案など、重要課題が控えている。首相の外遊も予定されており日程はタイトだ。菅原氏が野党の追及で立ち往生したり、市民団体などが菅原氏の刑事告発すれば、野党がますます硬化するのは確実で、内閣支持率にも影響しかねなかった。政府・与党内には菅原氏の辞任やむなしの空気が広がった。国対経験が長い菅原氏も事情を察し、苦渋の決断をした。

 首相はもちろん、菅氏にとっても痛手といえる。菅原氏の入閣には慎重な首相側近の意見がある一方で、首相が菅氏の進言を受け入れた経緯があるためだ。野党は勢い付き、北村誠吾地方創生担当相らを「次の標的」と定めている。北村氏は岸田文雄政調会長率いる岸田派の希望で入閣した。自民党ベテラン議員は「首相側近がねじこんだ閣僚が政権のリスクになっている」と語った。

 第2次内閣以降では、閣僚の辞任は菅原氏で9人目だ。「政治とカネ」問題で重要閣僚が就任後早々に辞任に追い込まれたことで、第1次内閣で閣僚の辞任が相次いだ「悪夢」もよぎる。(沢田大典、永原慎吾)