FDA: What You Should Know About Using Cannabis, Including CBD, When Pregnant or Breastfeeding

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近年、医療用と嗜好用の両面で世界的に規制緩和が進む大麻。その先進国の一つであるアメリカでは、今年1月の「2018年農業法」施行に伴い「ヘンプ」(hemp)と呼ばれる産業用大麻をいわゆる「マリファナ」と区別する定義が明確になり、大麻草の商業栽培が全米で合法化された。これと前後して、食品から化粧品、電子タバコまで、これまでグレーゾーンが多く存在する中で成長してきた大麻由来製品の市場拡大が急速に進んでいる。

この状況を受け、米連邦食品医薬品局(FDA)は今月、妊娠中や授乳中の女性が大麻や大麻由来製品を使用すると早産・死産や胎児・乳児の脳の発達障害などのリスクが高まるとして警告を発した。

大麻草に100種類以上含まれるとされる生理活性物質「カンナビノイド」の中でもFDAが特に指摘したのは「THC」(テトラヒドロカンナビノール)と「CBD」(カンナビジオール)の2種類。THCは脳神経に作用し幻覚や記憶障害などを引き起こす成分で、大麻が麻薬として規制を受ける最大の理由がこのTHCだ。一方、CBDにはTHCのような精神作用が無く、痛みや炎症、不眠などを緩和する効果があるとされている。アメリカではCBDキャンディ、CBDオイル、CBDスキンクリームなど一般消費者向けの食品・飲料や化粧品などが数多く流通し、その一部は日本国内でも合法的に輸入販売されている。医薬品としてはアメリカでも今のところFDAが承認した大麻由来の製品は1種類しかない(2018年承認の難治性小児てんかん治療薬Epidiolex)。

FDAは、THCが母親の血流から胎児に入ることで脳の発達障害を引き起こす可能性があるほか、乳児に対しても母乳経由で同様の問題をもたらす危険性を指摘。妊娠中や授乳中にマリファナやTHCを含む製品を使用しないよう警告している。また、CBDについては胎児や乳児への影響に関する包括的な研究結果が出ていないとしているが、FDAはこれまでも市場にはTHCの含有などに関して不正確な情報を伴うCBD製品が多く出回っていることを指摘してきた。これまで確認された事例や収集データに基づく見解として、CBD製品であっても妊娠中や授乳中の使用に関しては大きな懸念があるとしている。

またFDAは今回、大麻の種子に由来する食品成分の評価を完了し、種子由来の成分を食品に使用することに関しては問題がないことを確認したと併せて公表した。

THCは主に大麻草の花穂と葉に含まれており、大麻の栽培や所持、譲渡・売買が違法とされる日本の大麻取締法においても、成熟した茎と種子やこれらに由来する製品は法規制の対象から除外されている。国内で合法的に販売される大麻由来の食品などは茎または種子に由来するが、個人輸入なども含め、国内ではさまざまな海外製品が出回っていると言われる。今回のFDAの指摘を踏まえると、ニコチンやアルコールと同様、妊娠中・授乳中のCBD摂取には注意が必要だ。

【参考】

FDA: What You Should Know About Using Cannabis, Including CBD, When Pregnant or Breastfeeding
https://www.fda.gov/consumers/consumer-updates/what-you-should-know-about-using-cannabis-including-cbd-when-pregnant-or-breastfeeding

医師・専門家が監修「Aging Style」