『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』 11月1日(金)より公開!

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祝!『ジョーカー』の大ヒットで、映画界はピエロに席巻されていますが、もう一人強烈なピエロ・キャラ(ペニー・ワイズ)が登場します! 『IT/イット THE END "それ"が見えたら、終わり。』2017年に大ヒットした『IT/イット"それ"が見えたら、終わり。』の続編です。
"続編"という言い方は正しくないのかもしれません。前作と本作は前編・後編の関係にあり、また1本の独立した映画として楽しめるのです。日本でもファンの多いスティーヴン・キングの小説を原作としています。本作への期待は大きく、今年のサンディエゴ・コミコンではこの映画のためにサンディエゴとSCARY(怖いという意味)をかけた"スケアディエゴ"という特別なイベントが開催!あまりの人気で、僕は会場に入れませんでしたから(笑)。
とにかくファン待望の作品なのです!

アメリカ、メイン州の田舎町デリー(架空の町)に昔からすみつき27年ごとに恐ろしい事件をひきおこす邪悪な存在、それがIT/イットです。1988年に現れた時も子どもたちを襲いましたが、7人の子どもたちによって撃退されます。そして子どもたちは誓います。もしまたIT/イットが現れたら、また集まり戦おうと。そして27年がたち、2016年、再びIT/イットは現れます。大人になった子どもたちは再び立ち向かうのですが・・。

前作は1988年の戦い、本作は2016年の戦いを描きます。この7人の子どもたちは様々な悩みやトラウマ等を抱えており、要は町の中でもみそっかす扱いされています。彼らは自らを自虐的にルーザーズ・クラブ(負け犬クラブ)と言っています。そしてIT/イットは子どもに近づきやすく、また怖がらせる姿としてピエロの形で現れる、という設定なのです。この設定さえ押さえておけば『IT/イット THE END "それ"が見えたら、終わり。』から観ても大丈夫です。本作はなんと3時間近くあるのですが、その理由も納得なのです。

本来であれば大人になったルーザーズ・クラブとIT/イットの対決を描けばいいのですが、やはり前作の『IT/イット THE END "それ"が見えたら、終わり。』が大ヒットした理由は子どもたちのドラマが愛らしく、彼らの魅力が大きかったです。従って本作もその子どもたちのドラマ部分が予想以上にたっぷり描かれている。そしてIT/イットの暴れっぷりが増量! IT/イットは変幻自在=相手の怖いモノやトラウマに化けて現れるなので様々なフォームで襲い掛かってきます。『進撃の巨人』×『遊星からの物体X』みたいになっていて、モンスター映画の一大ショウケース!このボリュームと観たいものをちゃんとみせてくれるサービス精神、そして実はとってもエモーショナルなエピックに仕上がっていて、アメコミ映画ファンのための『アベンジャーズ:エンドゲーム』、ホラー映画ファンのための『IT/イット THE END "それ"が見えたら、終わり。』という満足感です。
怖いけれどとても胸をうつ至福の3時間です。
IT/イットの正体はなにか?というよりもIT/イットはルーザーズ・クラブにとってなんだったのか?は様々な解釈が成り立ちますが、そこの余韻もまた素晴らしいです。

なおなぜこの邪悪な存在をIT/イット=それ、と言うのかなのですが、映画評論家の町山智浩さんが確か"鬼ごっこの鬼をIT/イットと呼ぶ"みたいな解説をされていた記憶があります。あと1950年代のSF、モンスター映画には"It came from outer space(それは外宇宙からやって来た)""It! The Terror from Beyond Space(恐怖の火星探検)""It Came from Beneath the Sea(水爆と深海の怪物)"と怪物や正体不明の物をそれ=ITと呼ぶものがあったようなので、そうしたモンスター映画へのオマージュともとれます。原作小説だとルーザーズ・クラブの子どもたちのエピソードはまさに1950年代後半なので。

なお前作の子役たちはさすがに成長してしまったそうなので、なんとデジタルで修正して"若返らせた"そうです。前作の子役たちが素晴らしかったのですが『IT/イット THE END "それ"が見えたら、終わり。』の大人たちの役者も魅力的。キーとなる男女をジェームズ・マカヴォイとジェシカ・チャステインが演じています。この2人はいまブルーレイにてリリースされている『X-MEN: ダーク・フェニックス』でも共演しています。この『X-MEN: ダーク・フェニックス』はちょっと『アベンジャーズ/エンドゲーム』におされ、今一つ話題になりませんでしたが、隠れた傑作! 特にクライマックスの列車アクションは、これぞ!観たかったX-MENのアクション!なので見逃した方はこちらもこの機会に!

(文/杉山すぴ豊)

『IT/イット THE END "それ"が見えたら、終わり。』
11月1日(金)より公開!
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