提供:週刊実話

写真拡大

 関西電力役員らが福井県高浜町の森山栄治元助役(3月に90歳で死去)側から3億2000万円の金品を受け取っていた原発マネー還流問題。今後の焦点の一つは政治家への還流がなかったかだ。

 橋下徹元大阪市長と関西電力筆頭株主でもある大阪市の松井一郎市長は、この問題に徹底して切り込む姿勢を打ち出した。背景には自民党政権では出し切れない関電闇マネーの“膿”を洗い出すこと。そして、「未来の日本を託せるのはポエム小泉進次郎ではなく、ケンカ橋下徹しかいない」という橋下待望論を巻き起こすのが狙いだという。

 「関電マネー疑惑が発覚すると、大阪市の松井市長は即座に盟友で弁護士の橋下氏を事件検証する第三者委員会メンバーへの送り込みに言及し、大ナタを振るう姿勢を猛アピールした。だが、関電はかたくなに拒否、最終的に橋下氏はメンバーから外された。しかし、橋下、松井両氏は関電側が断るのは織り込み済み。つまり、断ることによって原発マネーの闇が相当根深い証拠となった。関電は橋下氏が入れば、関電解体と原発ストップの可能性にブルったわけです。それまで、八木誠会長、岩根茂樹社長は辞任を拒んでいたが、橋下氏を第三者委員に入れない替わりに、自分たちは引責辞任で幕引きの方向に切り替えた。橋下氏らの第1弾のジャブは大ヒットしたのです」(維新関係者)

 全国紙政治担当記者が続ける。
「実は、こうした作戦は周到に練られてきた。というのは、橋下氏や松井氏らは有権者の選挙動向の潮目が変わりはじめたのを統一地方選、参院選でヒシヒシと感じ始めたのです。『れいわ新選組』などの大躍進に見られるように、今はネットやSNSで政治活動をアピールする時代。地盤、看板、カバンの“3バン”はもう選挙の三種の神器ではない。事実を発信しないと、有権者の支持はもはや得られないと痛切に感じ取ったんです。そんな折の今年前半ですよ、松井氏や橋下氏側に関電闇マネー疑惑を告発する匿名内部文書が送られてきたのは」

 内部告発文書を元に橋下、松井氏らは極秘調査を開始。関電や国税周辺に独自のディープスロートを得ることに成功し、その闇の深さに愕然、全容解明に向け肚を括ったという。
「同時に徹底追及することで、政党として全国的に足踏み状態だった維新の信頼、存在感をMAXに高められると捉えたわけですよ。また、橋下氏を前面に出すことで、政界復帰を有権者に認識させられるツールとしたのでしょう」(同)

 維新は安倍政権にパイプがある。仮に与党議員が原発マネーに絡んでいても、大阪市が関電の筆頭株主であることを盾に次の3つの方針を確認したという。
(1)橋下氏が第三者委員会に入り実態解明。入れない場合は筆頭株主の大阪市が株主代表訴訟で徹底追及する。
(2)国会で日本維新の会が疑惑を取り上げる。
(3)橋下氏はメディア、ブログ、街頭等で疑惑を暴く。
「実は関電内部では渦中の森山栄治元助役が3月に死去したのをいいことに、金品受領問題はウヤムヤに終わらせられるとタカをくくっていたフシがある。というのも、監査役に土肥孝治元検事総長(6月退任)、佐々木茂夫元大阪高検検事長など錚々たる関西検察トップクラスのOBを揃え、手を打ってきたからだ。だが、関電は問題をなめすぎた。森山氏は膨大なメモ帳を残していた。昨年の金沢国税局査察で森山メモが押収され、中身流出を押さえきれなかった」(司法記者)

 メモには大判小判の類から現ナマ、数千円単位の菓子折りまで、いつ誰に贈ったか克明に記されていたという。いわゆる関電版『黒皮の手帖』(注・松本清張の小説。架空預金者リストが記された手帳)だ。その一部が関電隠ぺい工作に怒る内部告発者から流れ、共同通信社の大スクープとなったようだ。