ラグビーW杯総括の記者会見に臨むトンプソン・ルーク=21日、東京都内(蔵賢斗撮影)

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 強豪・南アフリカに敗れ、1カ月に及んだ激闘に幕を下ろしたラグビー・ワールドカップ(W杯)日本代表。

 4大会連続出場を果たしたトンプソン・ルーク(38)は今大会を最後に代表を退いた。「むっちゃ楽しかった」。今シーズン限りでの現役引退も表明しているベテランは、自国開催の大舞台を笑顔で振り返り、桜のジャージーに別れを告げた。(鈴木俊輔)

 代表71キャップ目となる一戦で最後まで死力を尽くした背番号4は、満場の拍手に送られてピッチを後にした。先発出場した準々決勝の南ア戦。年齢を感じさせない献身的なプレーと激しいタックルで体を張り続けた。勝利には届かなかったが、「特別な大会だった。素晴らしいチームだ」とすがすがしい表情を浮かべた。

 代表デビューから12年。日本代表の低迷期、そして成長を肌で知る。W杯初出場は2007年の第6回大会。日本は第2回大会のジンバブエ戦以来勝利から遠ざかり、1勝もできずに帰国する弱小国だった。帰国したフィフティーンを待つのはわずかな数の報道陣だけ。1次リーグの壁を越えることなど、誰も想像もできなかった。

 「頑張ったけど負けた、ではだめ。新しい歴史、勝つ文化がほしかった」。今大会でイングランドを4強に導いたエディ・ジョーンズがヘッドコーチに就任し、長期間の合宿と激しい練習を経て迎えた前回大会。すでにベテランの域にさしかかっていたが、主力として活躍し、南ア戦の金星など3勝を挙げる大躍進に貢献した。

 それでも、心残りがあった。変えたかったのは1次リーグ敗退が続いてきた歴史。一度は決めた代表引退を撤回し、4大会連続のメンバー入りを果たした。

 「特別な選手じゃない。シンプルに自分の仕事をちゃんとやる」。その言葉通り、毎試合、日本代表の最年長出場記録も更新しながら力を出し尽くした。ロシアとの開幕戦、優勝候補の一角を破ったアイルランド戦、歴史を変えたスコットランド戦−。南アとの準々決勝まで、重要な試合では必ずピッチに立ち、自らの手で最高の花道をつかみ取った。

 「たくさんのいいメモリーと、たくさんの仲間ができた。日本代表のキャリアは終わったけど、すごい楽しかった」

 休む間もなく、10年以上過ごし、強い愛着を持つ近鉄ライナーズに合流する。「もう38歳。絶対に終わりね」。日本ラグビーの歴史にその名を刻んだ男の、最後の戦いが始まる。

 ■トンプソン・ルーク

 1981年生まれ、ニュージーランド出身。2010年に日本国籍を取得した。ポジションはロックで、W杯は4大会連続でメンバー入り。W杯での出場試合数を日本代表では歴代最多の14試合まで伸ばし、代表を退いた。今シーズン限りでの現役引退も表明。所属する近鉄の地元・大阪府東大阪市では、「トモさん」の愛称で親しまれている。