税理士に聞いた!住宅ローンを夫婦で組む場合のメリット・デメリットとリスク

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「教えて!goo」に「住宅ローン 夫婦連名かどうか」、「住宅名義変更」、「離婚した際のローンの支払関係について教えてください」というタイトルで質問が投稿されていた。

いずれも住宅ローンに関する質問だが、今回は住宅ローンを夫婦で組む場合のメリットやデメリットをお金の専門家である松嶋洋税理士に話を聞いた。

■ペアローンのメリットは4つ

ペアローンのメリット1:融資枠

「近年は共働き世帯も増えてきていますから、夫婦の収入を最大限に活かして融資金額を大きくできるのはメリットです」(松嶋洋税理士)

ペアローンのメリット2:住宅ローンの控除

「夫婦それぞれが住宅ローン控除を受けられるというのもメリットです。連帯債務で組む場合、住宅の所有権は、夫婦が共有することになります。住宅ローン控除は、住宅ローンを組んで住宅を購入した場合に適用されます。連帯債務かつ共有であれば、夫婦の両方ともがこの両方の要件を満たしますから、夫婦の両方が住宅ローン控除を受けらます」(松嶋洋税理士)

ペアローンのメリット3:居住用財産の特例

「住宅を売却するような場合にも、居住用財産の特例というメリットがあります。これは住宅などの居住用財産を売却した場合、一定の要件を満たすと、譲渡所得から最大で3千万円を控除できるという特例です。それそれが受けられるので控除額は倍増です。」(松嶋洋税理士)

ペアローンのメリット4:相続税の節税

仮に夫と妻で50%ずつ共有していれば、夫婦のうちどちらか一方が亡くなった場合、50%だけ課税されます。一方で、仮に夫の単独所有で夫が亡くなれば、相続税の対象になるのは住宅の100%です。相続税は累進課税ですから、一回の相続で課税される財産の額は小さい方が節税になります」(松嶋洋税理士)

4つの中でもやはり住宅ローンの控除と融資枠の拡大がメリットとしては大きいだろう。購入を検討している不動産が夫婦どちらかの収入では買えない場合にペアローンは有効だ。

■ペアローンのデメリットは5つ

ペアローンのデメリット1:一方の収入状況に大きな影響を受ける

「連帯債務の場合、夫婦で住宅ローンを組んでいますから、原則は夫婦がそれぞれ返済します。となると、夫婦のうちどちらかが失業するような場合には、住宅ローンの返済負担は倍増することになります。出産と子育ての関係上、子供の成長につれて、夫婦の共働きが難しくなる場合も想定されますから、この点注意が必要です」(松嶋洋税理士)

ペアローンのデメリット2:処分の制約

「売却する場合、相手の同意が必要になります。仲が悪くなり離婚の危機が生じるような場合、この制約が大きなネックになることがあります」(松嶋洋税理士)

ペアローンのデメリット3:相続の問題点

「仮に子供がいない夫婦の夫が亡くなった場合、夫の相続人は、妻と夫の両親となることが原則で、夫の両親もすでに亡くなっていれば、妻と夫の兄弟姉妹となります。つまり夫の両親や兄弟姉妹と遺産分割協議を行う必要があり、関係性次第では相続のトラブルに発展することがありえます」(松嶋洋税理士)

ペアローンのデメリット4:融資のコスト

「夫婦がそれぞれ単独で組むとすれば、ローンが二本ということになりますので、借入れコストが大きくなります」(松嶋洋税理士)

ペアローンのデメリット5:債務者死亡の場合の取扱い

「単独債務であれば、債務者が死亡すると、その単独債務の住宅ローンの返済は原則としてなくなります。一方で、連帯債務であれば、主債務者が死亡した場合は別にして、連帯債務者が亡くなっても返済がなくならない場合もあります。どちらが亡くなっても返済が無くなる連帯債務もありますので、こちらの検討も必要になります」(松嶋洋税理士)

平成27年度の厚生労働省の調査によると離婚率は35%である。メリット・デメリットだけでなく、将来のリスク・リターンも想定する必要があるだろう。

■個人所得ではなく世帯所得が重要

実親などの経済援助を受けずに家を購入するのは簡単ではない。高額所得者や宝くじ当選者でないならば、夫婦共働きで世帯所得を増やすのが近道だ。「賃貸VS購入」というテーマはいまだに恒例の炎上ネタとなっているが、購入を決めた共働き夫婦にとっては夫婦で住宅ローンを組むかどうかは、離婚・死別・失業・収入減・転勤・転職・出産・育児・保活・病気などさまざまなリスクを想定する必要がある。仮に失敗しても、後悔だけはしないように気を付けていただきたい。

●専門家プロフィール:元国税調査官・税理士 松嶋洋 Twitter Facebook
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は税理士として事務所を運営する傍ら税務調査対策のコンサルティングにも従事。

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