前半、南アフリカのディフェンスを振り切る福岡(中央)=撮影・棚橋慶太

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 「ラグビーW杯・準々決勝、日本3−26南アフリカ」(20日、味の素スタジアム)

 最後まで狙っていた一矢が届くことはなかった。これまで3試合連続トライを奪ってきたWTB福岡だったが、南アフリカの厳しい守備にはね返され、つぶされた。仰向けになり、漆黒の空を見上げる瞳に涙がにじむ。それでも「集大成で自分のパフォーマンスはできた。悔いはない」。そう言って思いをかみ締めた。

 これが最後のW杯だった。今後は7人制の代表で来年の東京五輪を目指した後、現役を引退し、もう1つの夢、医師になる道を進む。開業医の祖父、歯科医の父を持ち、幼い頃から医師を志した。そんな将来設計に自慢の快足が別の夢を呼び込んだ。福岡高校3年時の花園での勝利によって得た自信で「上を目指したい」と続けることを決めた。才能を見いだされて、大学で一区切りの予定も変わった。後押しした祖父の言葉があった。『才能を持って生まれてきた人間はそれを社会に還元する責任がある』−。その才能は、ついに日本の希望となった。

 まず1つの区切りはついた。ピッチを駆けるのは来年の夏の東京五輪シーズンまで。前回のリオ五輪では4位だった7人制。舞台はくしくもこの日、悔し涙を流した味の素スタジアムになる。「20年にもう一度、日本のラグビーの素晴らしさを見せたい」。ラグビー人生のフィナーレは、再び日本ラグビーの歴史を塗り替える、メダルへのトライとなる。