ポール直撃となる勝ち越し3ランを放ったヤンキースのアーロン・ヒックス【写真:Getty Images】

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初回に鮮やかバーランダー撃ち、一気呵成に4点を挙げて試合を決める

■ヤンキース 4-1 アストロズ(優勝決定シリーズ・日本時間19日・ニューヨーク)

 ア・リーグ優勝決定シリーズ第5戦は18日(日本時間19日)、王手をかけられていたヤンキースが初回の2本塁打でアストロズの好投手バーランダーを攻略して逆転勝利。対戦成績を2勝3敗とし、10年ぶりのワールドシリーズ進出へ望みをつないだ。

 試合は、一気呵成に攻めたヤンキース打線の初回の4点で決まった。同シリーズ2度目、ポストシーズン自己通算29度目のマウンドで、バーランダーは明らかに力んでいた。直球は上ずり、変化球も本来の切れがない。先頭のルメイヒューが右中間へ同点のソロ。さらにジャッジ、トーレスの連打で好機を広げ、1死二、三塁の場面で5番ヒックスが右翼ポール直撃の3ランで、序盤での攻略に成功した。

 同シリーズ3試合に出場して1安打と不振だったヒックスが放った一発は技術の賜物だった。

「打球には思った以上にスピンがかかっていたけど、ファウルにならずにすんだのは(体を開かずに)ボールの内側にバットを入れて巧く打てたから」

 内角に入るスライダーを捉えた打球は切れることなく見事、ポールに命中した。また、速いテンポで投げてくる相手のリズムに引き込まれないように打席で深呼吸をして間を取る工夫も施した。さらに、威力のある高めの直球を2球続けてしっかりと見極められたことが打席での「自信を生んだ」と言う。

ヤンキース・ブーン監督の揺るがぬ信頼が、打線の奮起を呼ぶ

 ヤンキースのブーン監督は試合前の会見でバーランダー対策を問われ、こう話している。

「まだ打者には何も話してない。シーズン中からストライクゾーンを意識しろと、しつこいほどに言ってきたからね。多くはそれができているし、それができればハイレベルなアストロズ投手陣に太刀打ちできるだろうから」

 初回に29球を費やしたバーランダーは2回から立ち直り、降板する7回までを1安打無失点と本来の投球を見せただけに、4点をもぎ取った速攻が奏功した。

 投げては、先発左腕パクストンが6回4安打1失点と好投。ケンリー、ブリットン、チャップマンの好継投で反撃を断ち切った。投打にリズムをつかんだヤ軍は19日(日本時間20日)、移動日なしで敵地ヒューストンに乗り込み、第6戦に臨む。(木崎英夫 / Hideo Kizaki)