水没車内から「もうダメだ」制止を振り切り帰宅

写真拡大

 川が氾濫して水没した車の中で亡くなっていた男性は、避難先の友人が止めるのを振り切って自宅に向かったということです。男性は最後まで友人に電話で助けを求めていました。

 道は川の氾濫によって完全に水没していました。都幾川と九十九川が氾濫した埼玉県東松山市の浸水現場です。

 浸水被害を受けた住民:「もうびっくりしました。こんな状況、私ども初めての経験ですから。あそこの屋根の上まで水で全部つかっていました。あの高さが5.5メートルくらいあります。この地域の人は、ほとんどの人たちがここまでなると思っていなかったんじゃないか」

 少しずつ水が引き始めた13日朝、水面に白い車の屋根が現れました。水没した車の中から遺体で見つかったのは坂田正美さん(70)です。坂田さんは台風が上陸する前の12日夕方、高台に住む友人の家に自主的に避難していました。ところが、午後8時すぎに雨が小降りになった時でした。

 坂田さんの友人:「『大丈夫そうだから帰る』って帰っちゃった。『これからが台風なんだから』と言ったんだけど、聞かないで『もしだめだったら戻ってくるから』って行っちゃった」

 いったん収まったという雨。坂田さんは車で自宅に向かったといいます。現場は川の合流地点に近い低い土地。坂田さんの車が水にのみ込まれたのは、まさに川が氾濫したころとみられています。

 坂田さんの友人:「『(水が)天井まで来ちゃっているからもうだめだ。これじゃ死んじゃうよ』って。『もう少しで(助けが)来るから頑張ってね』って電話で」

 110番通報して警察は捜索を始めますが、氾濫した水で二次災害の危険があることから救助を断念。坂田さんとの連絡も途絶えました。

 坂田さんの友人:「(携帯電話では)もう話はできないでブクブク…という感じ。それが最後だったですね」

 目撃した人によりますと、坂田さんは携帯電話を手にしたまま亡くなっていたということです。

 坂田さんの友人:「しっかり止めるべきだったとそう考える。もうそれしかない」

 収まったように見えた雨。自然の猛威は想像を超えていました。