稀な疾患に苦しむ娘の姿を母親がSNSに公開(画像は『Hope for Anna 2018年6月10日付Facebook』のスクリーンショット)

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このほどアメリカから、稀な疾患を持って生まれ、全身がひび割れたようになってしまう娘の姿を包み隠さずSNSに公開している母親の話題が届いた。母親は娘が生まれてからの2年間を振り返りながら、奇異の目で見られる可能性もある中であえてSNSに娘の姿を公開している理由を語った。『New York Post』などが伝えている。

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ニューヨーク州アルスター郡ハイランド在住のジェイムズ・ライリーさん(James Riley)とジェニーさん(Jennie、34)夫妻には、3人の子供がいる。中でも末っ子のアンナちゃん(Anna)は、今年2歳でまだまだ可愛い盛りだ。しかしながらアンナちゃんは稀な疾患を抱えて生まれてきたため、ジェイムズさんとジェニーさんは数々の苦悩を乗り越えてきた。

2017年9月のこと、お腹にアンナちゃんを宿していたジェニーさんは出産予定日より6週間も早く破水したため、急遽同州のノーザン・ダッチェス病院で出産の準備に入ろうとした。逆子だったこともあり帝王切開での出産となったが、無事アンナちゃんを同月17日に出産した。

アンナちゃんが産声を上げた時、ジェニーさんの耳に看護師の「元気な赤ちゃんですよ」という声が聞こえた。この時ジェニーさんは全身の力が抜けていくのを感じたという。

しかし出産後、ジェニーさんが横たわるカーテンの向こうで、病院スタッフが慌ただしく人を呼ぶ気配があった。ジェニーさんは自分の身に何かあったのではないかと心配したが、その慌ただしさの原因はアンナちゃんにあった。

アンナちゃんは「道化師様(ハーレクイン)魚鱗癬」と診断された。これは全米希少疾患患者団体(NORD)によると、出生数50万人に1人の割合と言われる難病という。そのためアンナちゃんは、生まれてすぐ空気にさらされたことにより身体中の皮膚がみるみる乾いて、全身にマスクメロンのようなひび割れができ始めた。それは無数の切り傷のようにも見えたそうだ。

ジェニーさんは看護師に連れてこられたアンナちゃんの痛々しい姿を見て大きなショックを受けたものの、同時に「アンナの命を守りたい」と思ったという。

アンナちゃんは誕生後、治療のため112キロ離れたウェストチェスター医療センターの新生児集中治療室に移され、血液の流れをよくするための形成手術を受けた。その翌日には再びジェニーさんがいる病院に搬送され、治療を続けることになった。

入院中もアンナちゃんの皮膚は乾いて縮むことから、目と口が裏返り、首や胸の周りにくびれができて圧迫され、呼吸がしづらい状態となるため常に予断は許されなかった。

同年10月中旬に無事退院して、家族はアンナちゃんを自宅に連れて帰ることができた。ジェニーさんは「道化師様魚鱗癬と診断された赤ちゃんが出生から無事に1か月を乗り越えられた場合、あとは希望が持てるのです」と語っている。

それからというものジェニーさんは仕事を辞めて、アンナちゃんのケアに集中した。皮膚が硬化してひび割れないように毎日3時間以上もお風呂に入れ、汗をかくことができないアンナちゃんのため頻繁に体温をチェックしたりと、できる限りのことをしているという。

しかし最も重要なことは、アンナちゃんが「自分自身を深く愛せるように教えること」とジェニーさんは話している。ジェニーさんは今後成長していくアンナちゃんについて、周りの人がどのように感じてどのように接するのか、また社会がアンナちゃんをどのように受け入れるのか、こればかりは自分たちではどうにもできないことだと考えたようだ。

そこでジェニーさんは、道化師様魚鱗癬がどういうものか多くの人に伝えるためにFacebookとInstagramを通じてアンナちゃんの姿を公開することにした。SNSにはアンナちゃんの辛い時も幸せな時も包み隠さず公開している。ジェニーさんはSNSに全てを公開していることについて、次のように明かした。

「私達はアンナを人目につかないようにすることも、人前で彼女を楽しませてあげることもできるのです。今でも奇異の目で見られたり、いろんな質問を受けたりします。しかし私達家族はアンナのことを公開する必要があると感じました。」

「ある意味、私はアンナの今後のための世界を用意していると言えるでしょう。だって、アンナはいつか外へと向かっていかなければならないのです。それにアンナは美しい娘ですもの。」

ジェニーさんが運営するアンナちゃんのFacebookとInstagramには合わせて16万人以上のフォロワーがおり、アンナちゃんを支えている。

画像は『Hope for Anna 2018年6月10日付Facebook、2019年10月9日付Facebook』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)