ブラジル遠征では、U-20サンパウロ戦で1ゴール。U-22ブラジル戦でも存在感を示した。(C) Getty Images

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 ランニングをしても、ストレッチをしても、ゲーム形式をしても、その銀色の頭髪がとにかく目立つ。U-22日本代表に初めて選出された食野亮太郎のことだ。

 だが、目立つのは、頭髪だけではない。そのアグレッシブなプレーは、ピッチの中でも確かな存在感を放っていた。

 10日に行なわれたU-20サンパウロFCとの練習試合では、常に相手DFの背後に飛び出し、DFを外して右足でゴールゲット。14日のU-22ブラジル戦ではシャドーの一角として先発し、ゴリゴリ仕掛けて、シュートを何本も放った。

「ディフェンスラインと駆け引きして背後をどんどん取ったり、狭いスペースでボールを受けて、シュートを狙っていく。これが自分のプレースタイルなんで」

 これまで多くの選手をアンダー世代の代表に送り込んだガンバ大阪ユースの出だが、食野が日の丸を背負うのは、このブラジル遠征が初めてのことだ。プロ3年目の今季、G大阪でJ3では8試合・8得点、J1では12試合・3得点と結果を残し、夏に移籍したスコットランドのハーツでは出場2試合目にしてゴールをマーク。こうしてU-22日本代表に選出された。

「世間は、やっと(選ばれた)か、っていう感じだったみたいですけど、僕自身はそうは思ってなくて。今までと同じようにサッカーに取り組んできて、最近たまたま良いプレーができていたから呼んでもらえたのかなって」

 だが、こうした謙虚な姿勢とは裏腹に、ハンパないハングリー精神も併せ持つ。U-22ブラジル代表戦の前日には、堂々とこんなふうに宣言していた。
「常に下から成り上がってここまで来ているし、初招集なので、失うものは何もない。ブラジルのやつらを蹴散らしていきたいと思っています」

 本人は「最近たまたま良いプレーができていたから」と謙遜するが、実際、決定力が今年に入ってから飛躍的に高まったのは間違いない。その要因はなんだったのか――。

 食野はG大阪U-23の指揮官の名前を口にした。
「プレースタイルは変わってないんですけど、(森下)仁志さんに出会ってメンタルがすごく成長したというか。それまでは人のせいにしてばかりいたんですけど、仁志さんに謙虚でいることの大切さを教わった。それで、自分に矢印を向けられるようになった。これまでもシュートまでは持っていけていたけど、スコアにはならなかった。でも、心を整えられるようになってから、シュートを枠に飛ばせるようになったんです」
 
 こうして決定力を高めると、イングランドのマンチェスター・シティの目に止まり、電撃移籍。出場経験を積むために、レンタルで武者修行することになる。その際、いくつかの候補クラブを提示された。その中には「オランダの良いクラブの名前もあった」という。だが、そこで食野はあえて、世間的にはあまり知られていない、スコットランドの古豪を選ぶのだ。

「僕は最終的にシティに戻りたい。じゃあ、プレミアリーグに一番近いサッカーをしているリーグはどこかというと、スコットランド。身体のデカイ選手とガシャンガシャンやって揉まれれば、プレミアでも負けないくらい強い身体になれると思っています」

 その成果はU-22ブラジル代表戦でもさっそく見て取れた。ブラジルのDFたちに身体をぶつけられながらもブロックしてゴール前までボールを運び、囲まれながらもシュートまで持ち込んだのだ。
「ブラジル相手にシュートまで持って行けたのはポジティブに捉えていいと思います。ただ、自分のポジションは結果を出してナンボ。今日、得点に絡めなかったのは反省です。ハーツに戻って、しっかり積み重ねていきたいと思います」

 U-22日本代表のシャドーのポジションは、三好康児、堂安律、安部裕葵、久保建英らが居並ぶ激戦区。だが、ブラジル合宿が始まった頃、「初めて呼んでもらったからには爪痕を残して帰ろうと思っています」と誓っていた銀狼が、彼らの間に割って入るだけの存在感を示したのは、間違いない。

取材・文●飯尾篤史(スポーツライター)