ワシントンにある自身のオフィスでインタビューに応じるジョセフ・ユン氏=16日、ワシントン(聯合ニュース)

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【ワシントン聯合ニュース】米国のジョセフ・ユン前国務省北朝鮮担当特別代表は16日(米東部時間)、ワシントン市内で聯合ニュースと聯合ニュースTVのインタビューに応じ、北朝鮮の完全な非核化はすぐには望めないとしながら、「interim deal(暫定的な合意)」を含めた段階的な非核化アプローチのほかに選択肢はないとの見解を示した。米朝の実務レベルで成果がないなら3回目の米朝首脳会談は実現しないだろうと述べ、2月にベトナム・ハノイで物別れに終わった2回目の首脳会談を踏まえた「プラスアルファの合意」に向けた実務交渉の必要性を強調した。

 ユン氏は「北朝鮮が近い将来、完全に非核化するとは思えない」と述べた。これは北朝鮮に対し強硬的な姿勢だったボルトン前米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)と同じ見方ながら、自身は強制的に北朝鮮に核の引き渡しをさせるのではなく、段階的に解決すべきと考えている点で異なると説明した。ボルトン氏の方法はより多くの軍事措置と敵対心、災いにつながりかねないためだ。

 ユン氏は非核化の全段階を進めるには長い時間がかかるだろうが、段階的なアプローチのほかに選択はないと述べ、「段階的な履行を通じ十分な自信を積み上げ、ついにそこ(非核化)にたどり着くことになる。これが目標とすべきロードマップ(行程表)」と強調した。

 3回目の米朝首脳会談開催の可能性については、ハノイでの2回目会談の教訓から「トランプ大統領が事前の合意なしに(会談開催に)同意しないのは明らか」と述べた。2回目の会談では北朝鮮の寧辺核施設の廃棄と米国の制裁解除が取り上げられたとし、双方がここからさらに進んだ水準の「暫定的な合意」を導き出す方策を提示した。

 具体的に、北朝鮮に関しては寧辺以外の核施設や東倉里のミサイル基地、豊渓里の核施設を含める案、最終的な非核化を完了させるロードマップの合意、長距離ミサイルの即時放棄などを例示。米国については石炭輸出や海外への労働者派遣などを含む北朝鮮制裁の一部緩和、朝鮮戦争の終戦宣言、連絡事務所の相互設置などを挙げた。

 ユン氏はトランプ氏が来年大統領選を控えていること、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が米国に対し年末までの決断を迫っていることを踏まえ、「両リーダーは半年のうちに会うことになりそうだ」と予想した。

 同氏は米朝間で意思疎通が円滑に行われていないことに繰り返し懸念を示した。双方がもっと頻繁に会うこと、特に非公開の外交が必要と指摘。さらに非核化と制裁解除に対し「米国も柔軟性があることを明確にすべきで、北朝鮮も同様だ」と述べた。

 また、米朝交渉を巡り韓国政府が大変重要な役割を果たしてきたとした上で、今後もより積極的な役割を求めた。

 一方、米国が韓国に在韓米軍の駐留経費負担(思いやり予算)の大幅増額を要求している問題では、「トランプ大統領の立場で韓国駐留を金銭の面から見るもので、大きなミス」「両国関係を悪化させる可能性が高い。良くない」などと批判。米軍の韓国駐留は、中国はもちろん北朝鮮の脅威に対処するという観点で米国に大きな恩恵だと説明した。

 韓国が日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)終了を決めたことに対しては遺憾の意を示し、韓国にGSOMIAの更新を、日本には輸出管理の優遇対象国に韓国を戻すよう促した。米国もトランプ氏や閣僚が介入するなど積極的な役割を果たすべきだと述べた。