ホーム初戦でともに出番がなかった堂安と橋本。タジキスタン戦では見違えるプレーを見せた。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

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 タジキスタン戦のスタメンを見て、森保一監督は選手マネジメントがうまいなと改めて思った。
 
 アジア2次予選第2戦のモンゴル戦では、9月の2試合でボランチとして起用した橋本拳人を外して遠藤航を起用した。ホームでの初戦というプレッシャーがあるなか、代表20試合の遠藤の経験を評価して起用したわけだが、同時に9月シリーズで柴崎岳の後方支援に重きを置いた橋本に遠藤のプレーを見せて、何かを感じてほしいという思いがあったはずだ。
 
 モンゴル戦は、遠藤の良いところが多分に出ていた。リオ五輪代表ではボランチとしてプレーしており、守備力があるのはもちろん、当時から縦パスを入れて攻撃のスイッチを入れたり、前線に走り込むなど、攻撃に積極的に絡んでいた。そういったプレーをモンゴル戦でも見せ、柴崎とのバランスも非常によかった。
 
 タジキスタン戦で、橋本のプレーは前半こそ慎重だったが、後半は見違えた。0−0の状況だったので、多少前掛かりにならざるを得ない状況だったが、積極的に前に絡んでいった。高い位置で潰してボールを奪い、ショートカウンターを発動させる起点にもなっていた。少なくとも9月とは違うプレーを見せていた。
 
 U-22日本代表とU-22ブラジル代表の試合を見ていたが、ブラジルのボランチは技術が高いのは当然として守備が強く、スピードもあり、ひとりで攻撃を完結してしまう強さを持っていた。橋本にそのレベルまでは求めないにしても、自らの守備面の良さだけを出してプレーしていればいいというレベルでは成長はおぼつかないし、世界では戦えない。
 
 ただ今回、遠藤のプレーから何をすべきかを理解した橋本は、タジキスタン戦で見違えるような働きを見せた。同じ選手を起用すればコンビネーションは磨かれるが、個々の選手の成長は必ずしも右肩上がりというわけにはいかない。だが、一度スタメンを外されて、課題を突き付けられてスタメンに復帰した時、選手は当然“危機感”を覚えて必死にプレーし、足りなかった部分を見せようとする。その繰り返しで選手のレベルが上がっていく。
 堂安律のプレーにも、その“危機感”が見えた。
 
 モンゴル戦、右サイドで出場した伊東純也は3アシストの活躍だった。堂安は、それまで森保ジャパンで17試合に出場していたが得点は3点。1月のアジアカップのベトナム戦以降ゴールが遠ざかっていた。伊東の活躍を見て、次は自分だという気持ちがたぎっていたのは容易に察しが付く。
 
 タジキスタン戦にスタメン出場した堂安は、これまで以上に積極的だった。自分がアクセントになって攻撃の形を作る役割を果たしつつ、常にフィニッシュをイメージしてプレーしていた。なんとなく、いつでも点を取れるムードに流され、自分がフィニッシュを決めるという気概を持ってプレーしている選手が少ないように見えただけに、そういう気持ちを発散し、プレーしていた堂安の姿はこの試合でひときわ目立っていた。結果的に堂安はゴールを決められなかったが、タジキスタン戦で見せた貪欲さは、今後につながるプレーだった。
 
 モンゴル戦で外されて今回のタジキスタン戦で見事なプレーを見せた橋本、堂安以外では、ケガをした冨安健洋以外選手を入れ替えることをしなかった。森保監督のなかで控えとレギュラーと間に差があるのか、それとも慎重に見ているのかは分からない。しかし、GK、あるいはCBの吉田麻也をあえて外し、若い選手で組ませてみてもいいのではないだろうか。
 
 公式戦でチャレンジができるのは、この2次予選だけ。最終予選では冒険ができないので、今のうちに選手の相性など、攻撃面だけではなく、守備面でも可能性を広げていくべきだろう。
 
 10月の2連戦では、遠藤と伊東の良さを出しつつ、橋本と堂安に成長するチャンスを与え、それに二人は応えた。次は思い切った選手の起用も見てみたい。
 
取材・文●佐藤俊(スポーツライター)

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