喜美子(戸田恵梨香)が大阪に来てから1か月が過ぎようとしていた。荒木荘での女中の仕事にも少しだけ慣れてきて、元女中の大久保のぶ子(三林京子)に叱られる回数も少しは減ってきたように感じる。

喜美子は余った時間に得意の絵を生かし、靴箱用にそれぞれのイメージにあった花の絵を添えた名札を作った。その様子を見かけたのぶ子は何か思いついたようで、台所のテーブルにどさっと大きな箱を置いた。

喜美子「なんですか?」

のぶ子「ストッキングや。破れたとこ、直しい。玄関のあんな名札やら作るヒマがあるんやったら、できるやろ」

喜美子が「これも荒木荘の仕事ですか」と聞くと、のぶ子はそれには答えず、「できるんか、できんか、どっちや」と質問で返してくる。「できます」と答えるしかない。喜美子は眠い目をこすり、薄くて縫いづらい大量のストッキングをもくもくと直しはじめた。

直しても直しても追加で大量のストッキングを持ってくるのぶ子に、さすがにイライラした喜美子は、部屋に戻ると枕を掴み、「おおくぼ〜!とやあ!」と柔道の技で投げた。喜美子の最近のストレス発散法だ。

信楽の実家に全額送るつもりだったのに

そんな中でも、初の給料日は楽しみで仕方なかった。最初の給料は全額、信楽の実家に仕送りしようと思っていた。

ところが、ウキウキわくわくしながら開けた封筒の中には千円札が1枚入っていただけだった。「きちんとしたお給料は、大久保さんがおらんようになってからよ」と、荒木荘のオーナーで下着メーカーの社長・荒木さだ(羽野晶紀)は言う。浮立っていた喜美子の心は一気に重くなった。(NHK総合あさ8時)