東京五輪マラソン競歩の札幌開催の検討を始めたと国際オリンピック委員会(IOC)が16日、発表したことを受け、大会組織委員会には困惑の声が広がった。

 開幕まで300日を切っての会場変更は異例で、コース設定、警備や輸送計画から仕切り直しとなるだけに、実現には相当な困難が伴うことになる。

 「驚いた。もう1年、前ならまだしも…」と組織委幹部がつぶやくと、別の関係者は「青天の霹靂(へきれき)!?、そらそうだよ」と声を上げた。IOCの発表は、大会準備を進める組織委にとっても、突然の提案だった。

 会場変更は簡単なことではない。IOCや国際競技連盟はもちろん、関係自治体や施設所有者など、数多くの関係者との調整が不可欠。2013年の招致決定以来、コスト削減などを理由に過去大会に例がないほどの会場変更を行ってきた組織委は、そのことを身をもって知っている。

 すでにチケットの販売も始まっており、ボランティアを含む人員計画も固まってきている。マラソンなどロード競技は公道を使用するため、警備面での影響も多岐にわたる。陸上関係者は「非現実的。1年を切った段階では厳しい」と話す。札幌市では夏に北海道マラソンを開催しているが、運営面での準備期間は明らかに足りない。

 東京都としても約300億円をかけて、暑さ対策でマラソンコースなど都道約136キロの遮熱性舗装を進めてきた。ある関係者は「都がどう思うか。東京の魅力を発信すると意気込んでいたのに」と話した。

 一方、札幌市の秋元克広市長は「突然の報道に大変驚いている。市としては大変ありがたいことと捉えたい。まずは情報の収集に努める」とのコメントを出した。大会組織委では「選手の健康は、組織委員会にとっても最重要事項。組織委員会としては、IOC調整委員会で、東京都とも連携し、議論する」とのコメントを発表した。