大迫(15番)が不在だった10月シリーズ。最前線には、モンゴル戦で永井(11番)がタジキスタン戦では鎌田(18番)が入った。ともにコンビを組んだ南野(9番)は4戦連発と絶好調だ。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

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 大迫勇也は、最前線で「不動」のセンターフォワードだったわけではない。最前線で相手DFを引っ張る役割は意識しながらも、状況に応じて低めの位置にスペースがあれば、センターバックを引き連れてクサビのパスを受けて来た。当然大迫が開けた前方のスペースには南野拓実や、堂安律が飛び出していく。こうした連係で日本代表のゴールは生まれてきた。これまでも大迫が君臨しても、南野との縦関係が入れ替わるシーンは、試合中に何度か見られた。

 
 現状日本のFW陣で大迫をイメージするなら、最も近似値の役割をこなせるのは鎌田大地で、それは最初からあまり収穫を探せる見込みがなかった今回の連戦では、大事な確認作業になった。
 
 大迫の182センチに対し、180センチと身体のサイズも瓜二つの鎌田は、少なくともタジキスタンが相手ならポストワークもこなせて、巧みなターンからすり抜けて相手のイエローカードを引き出すこともできていた。ただし所属のフランクフルトではトップ下でプレーしているし、日本代表での経験や他の選手たちとの理解が浅く、なかなか前半はボールを引き出せなかった。開幕から連勝のタジキスタンが、まだ中盤でタイトな守備を敷きスペースを消していたので、ビルドアップが手詰まりになると吉田麻也を中心に裏狙いのルーズなボールを蹴り込むしかないシーンが目立ち、チャンスメイクはセットプレー頼みの状況が続いた。
 
 だが鎌田と南野が縦関係を入れ替えた後半は、タジキスタンのマークが緩くなったこともあり、両者が交互に前線で起点を作れるようになった。日本の後方の選手たちは2列目で空いた鎌田を意識するようになり、また本来のポジションに移った鎌田もマークが緩めになったことで、前を向いてボールをさばいていく。先制点は鎌田が左に展開して中島翔哉がフリーになった南野にアシストしたし、2点目も右サイドを駆け上がった酒井宏樹がダイレクトで中央の鎌田に繋いだところから再構築し、最終的に南野が仕留めた。
 
 シント=トロイデン時代はゴールを量産した鎌田だが、やはり最大の武器はバイタルエリアで仕上げにかかるパスだ。タメも作れるが、ワンタッチでさばけた時に大きなチャンスが生まれており、速い連動のキーマンになれる。くれぐれも相手がモンゴルやタジキスタンなので手放しの評価は危険だが、今後は大迫不在時の最初のオプションに定着していくはずだ。
 
 一方森保一監督は、比較的コンスタントに得点してきた永井謙佑の1トップという選択肢も依然として重視し、タジキスタン戦でも2人目の交代で鎌田に代えて送り込んだ。確かに永井は、招集して結果を出しているのだから尊重する理由はある。実際に国内の親善試合や2次リーグでは有効なオプションだ。
 
 だが反面FC東京で永井が機能しているのは、ディエゴ・オリベイラと連係した2トップによる速攻が繰り返されるからだ。ボランチに橋本拳人、2列目に久保建英が入れば、同様の狙いが期待出来るかもしれないが、現在の日本代表は中央でのポストワークを活かしながら、速い連動やサイドからの崩しを狙っている。どうしても永井を活用したいなら、1トップが適役だとは思えない。
 
 森保監督は、今から本大会へと繋がるようなベストメンバーを集めて、ほぼ固定して戦っている。要するにワールドカップ本番で戦うチームを作っているわけで、それならロシア大会で戦ったベルギーやコロンビアなどのレベルの強豪国に通用するプランを描けていなければ理に反する。逆に目の前の2次予選で結果を出すためのオプションを使うなら、大切な状況に直面している欧州組をわざわざ招集する理由がなくなる。
 
取材・文●加部 究(スポーツライター)