重要な天文観測を実施するかたわら、一般市民でも楽しめる美しい天体写真を公開しているヨーロッパ南天天文台(ESO)から、夜の天文台に現れた謎の来客の姿が公開されました。


■ウェブカメラに大写しにされた訪問者の「足の裏」

デンマーク1.54m望遠鏡前のウェブカメラが捉えた鳥の足の裏。爪の間にはオリオン座が見えている。画像左上の日時は協定世界時(UTC)であるため、現地時間よりも4時間進んでいる(Credit: ESO)


南米では冬の真っ只中にあたる2016年8月18日の朝4時32分(現地時間)にウェブカメラが捉えたのは、画面いっぱいに広がった鳥の足の裏。鋭い爪の間には、未明の空で輝くオリオン座がはっきりと写っています。


訪問者の姿が捉えられたのは、南米・チリの「ラ・シヤ天文台」にあるデンマークの1.54m望遠鏡のすぐ近く。ラ・シヤ天文台はアタカマ砂漠の北部、標高2400mほどの高地に建設された天文台で、大小さまざまな望遠鏡が設置されています。


ラ・シヤ天文台の夜景。デンマーク1.54m望遠鏡(右)の上には大小のマゼラン雲が浮かんでいる(Credit: P. Horálek/ESO)


デンマークの望遠鏡の前にはおよそ2分おきに静止画を撮影するウェブカメラが設置されていて、24時間いつでも誰でも映像にアクセスすることができます。この真上に向けられたウェブカメラのレンズの上に、狙ったかのように一羽の鳥が舞い降りたのです。


まだ暗い時間帯に飛来したことから夜行性で狩りをする鳥とみられていますが、ESOによると鳥の正体は今も不明のようです。縞模様の飾り羽も見えていますが、これだけ個性的なアングルから撮られた白黒写真ともなると、特定するのは難しいのかもしれません。


散歩と食事を楽しむビクーニャの親子。アルマ望遠鏡の近くにて撮影(Credit: C. Durán/ESO)


標高が高く乾燥しているアタカマ砂漠ですが、ラマに似たビクーニャ、眼光鋭いクルペオギツネ、猛禽類、ウマといったさまざまな野生動物が生息しています。天文台の近くにやってくることもあるようで、ESOからはこうした野生動物たちの写真も公開されています。


 


Image/Source: ESO
文/松村武宏