ロシア戦から中3日だったとはいえ、スコットランドの選手はほぼベストの状態だと分かっていた。

 あのペースが80分間続くとは思わなかったが、先手必勝とばかりに圧力をかけてきた。力ずくで先制トライを奪われて、その後田村がPGを外した。相手に流れが傾きかけた時に、福岡の快走からパスを受けた松島が取り返したのは大きかった。

 前半21分に右プロップの具智元が負傷してバルに交代。直後のスクラムを押して反則を誘ったのがターニングポイントになった。その後すぐに我慢して継続し、欧州勢やニュージーランドのお株を奪うようなオフロードパスを3本続け、サポートした左プロップの稲垣が代表初トライ。あの勝ち越しトライで勢いづいた。

 日本が挙げた4トライは全てが素晴らしいトライだった。松島と福岡は世界トップレベルのWTBだ。後半2分で4トライ以上のボーナス点を得たのは出来過ぎとも思った。そこからスコットランドが息を吹き返し、連続トライで21点のリードがあっという間に7点に。残りの25分は本当にきつい時間帯だった。キックもうまく使われて何度も自陣に戻された。

 相手はアンストラクチャー(攻守とも陣形が乱れた状態)の攻撃もうまかったが、焦らずに最後まで追い掛けてトライをさせないチームディフェンスをしつこくやり続けた。意地と意地のぶつかり合いになったが、我慢比べで負けなかった日本の粘り勝ちだ。点差は7点差でも、内容的には日本の完勝と言えるだろう。

 ◇村田亙氏の略歴

 村田 亙(むらた・わたる)東福岡高時代に全国高校大会出場。専大で主将を務め、東芝府中では日本選手権3連覇に貢献。91年からW杯に3大会連続出場した。日本人初のプロ選手としてフランスでもプレー。帰国後はヤマハ発動機に所属。40歳で現役引退。日本代表キャップ41。7人制ラグビー日本代表監督を経て、12年4月から専大監督。51歳。福岡市出身。