日米貿易協定締結で最終合意(C)ロイター

写真拡大

 やっぱり、ウソにまみれた協定だった――。安倍首相が訪米中の先月25日にトランプ米大統領と最終合意した日米貿易協定。今月7日に米国で正式に署名されたが、合意時の日本政府の説明と異なる事実がボロボロ出てきたのである。

米国にナメられる安倍首相 日米貿易協定署名式で笑い者に

 まずは関税撤廃が見送られた自動車と自動車部品について。政府は<さらなる交渉による関税撤廃>と明記されたとし、「(将来の)撤廃の約束を得た」という趣旨の説明をしていた。ところが、米国側が公表した関連文書には、<自動車や自動車部品の関税撤廃については、さらに交渉することになっている>としか書かれていないのだ。

 10日の衆院予算委員会で国民民主党の玉木代表が米国文書のこの表現について質問。「約束されているのは交渉(の継続)であって関税撤廃ではない」と攻めた。だが、交渉を担当した茂木外相は、「関税撤廃を前提に交渉することになる」と“勝手な英文解釈”を繰り出し強弁した。

「米国側で92%、日本側で84%と説明されている関税撤廃率は、自動車関連の41%が含まれなければ、米国側は51%にしかなりません。過去のFTA(自由貿易協定)で85%を下回った協定はほぼ皆無なので、いかに前代未聞の国際法違反協定かが分かります」(東大教授・鈴木宣弘氏=農政)

 農産品の市場開放を「TPP並み」に食い止めたという説明もデタラメだった。協定により、日本側は米国牛肉の関税を現在の38・5%から、TPP加盟国と同水準の9%(2033年)まで段階的に下げるが、低関税が適用される限度(セーフガード)も新たに24・2万トンを設定、2033年までに29・3万トンに拡大される。

「既にTPPで牛肉の低関税枠61・4万トン(2033年には73・8万トン)が設定されています。これにさらに米国分が上乗せされるわけですから、TPP並みではなく『TPP超え』です」(鈴木宣弘氏)

 政府は「米国に追い込まれただけじゃない」とアピールするため、日本から米国への低関税の牛肉輸出枠を多く勝ち取ったと喧伝したが、これも虚偽。現在の200万トンが拡大されることになったものの、複数国が対象の6万5000トンの枠内に日本も入れてもらえるだけだ。

 TPPから離脱する前の米国との交渉では、日本分だけで段階的に6250万トンまで拡大し、15年目には関税を撤廃して完全自由化することになっていたから、TPP時より後退である。

「国民にウソの説明をして署名し、後から本当の内容が出てくる。2国間FTAにもかかわらず、TAG(物品貿易協定)だとその場しのぎでごまかしていたのもそうですが、いつまでこんな隠蔽と開き直りを繰り返すのか」(鈴木宣弘氏)

 口先ペテン政権がますます増長している。