by edsavi30

世界中では3億人以上がうつ病で苦しんでいるといわれており、うつ病は学校や仕事、社会的なつながりや体の健康を損なうこともある危険な病気です。うつ病をはじめとする精神的な病気は自殺、アルコールやドラッグの乱用による早死につながっているとされていますが、思春期に家族と良好で密接なつながりを持っていた人々は、後の人生でもうつ病になるリスクが低いという研究結果が発表されました。

Association of Positive Family Relationships With Mental Health Trajectories From Adolescence To Midlife | Adolescent Medicine | JAMA Pediatrics | JAMA Network

https://jamanetwork.com/journals/jamapediatrics/article-abstract/2752557

Strong family ties during teen years can help ward off depression in later life

https://theconversation.com/strong-family-ties-during-teen-years-can-help-ward-off-depression-in-later-life-124239

ノースカロライナ大学チャペルヒル校で社会人口学の研究を行っているPing Chen氏とKathleen Harris氏は、うつ病の治療法や介入努力は進歩し続けているものの、抑うつ状態の多くは不可逆的なものであり、若年層に向けたうつ病の予防と早期介入が必要だと主張しています。

若年層に向けたうつ病対策では家庭環境も重要となり、ネグレクトや虐待、経済不安といったリスク要因は、うつ病に悪影響を及ぼすとのこと。その一方で、良好で密接な家族関係が思春期のうつ病を軽減するということも知られていますが、「思春期の家庭環境がうつ病に対してもたらす効果はどれほど続くのか?」という点に、2人は興味を持ちました。

2人は1995年から行われてきたAdd Health(青少年から成人の健康に関する全国縦断研究)という、2万人を超えるアメリカの青少年を思春期から成人後まで継続的に調査した研究データを用いて分析を行いました。Add Healthでは1995年のスタート以来、1996年、2001年、2008年、2016年と計5回にわたってインタビュー調査が行われ、対象者のさまざまなデータが縦断的に集められています。



by kat wilcox

分析の結果、うつ状態は思春期の間に増加して20代前半に低下、そして30代後半になって再びうつ状態の人々が増加するという全体的な傾向が見られました。このうつ状態曲線は男性の方が女性よりも平坦な傾向にあったそうです。また、女性は思春期中期から後期にかけて高レベルのうつ病になりやすく、男性は思春期のうちに高レベルのうつ病になりやすい期間が短かったとのこと。女性が最もうつ病になりやすいのは30代後半であり、男性において最もうつ病になりやすいのは30代中盤から40代初頭にかけての期間でした。

そして、焦点としていた「思春期の家族関係がどのようにその後の人生でうつ病のリスクに影響しているのか?」という点についても分析したところ、思春期の間に家族関係が良好で結束が強かった人々は、青年期から30代後半あるいは40代前半にかけて、うつ病のリスクが有意に低かったそうです。

良好な家族関係がうつ病に及ぼすメリットは男女差があったそうで、いい家族関係を持っていた女性は特に思春期から20代前半にかけて、男性よりも大きなメリットをもたらしました。一方、男性の場合は女性ほどメリットが大きくなかったものの、若年期では女性より長い期間大きなメリットが持続したとのこと。



by Daria Shevtsova

2人は今回の結果から、思春期の家庭におけるうつ病の予防的な早期介入の必要性が強調されたと指摘。思春期は生物学的発達や社会的発達において重大な変化が起きる時期であり、思春期に直面したこれらの変化にうまく対処できなかったことで、生涯にわたってうつ病に対して脆弱になってしまう可能性があると2人は主張しています。

その一方で、今回の結果は「思春期に悪い家族関係を持った人が生涯にわたり高いうつ病リスクを持つ運命にある」ことを必ずしも意味しないとのこと。思春期の子どもたちは友人や宗教、さまざまな支援機関、地域の人々といった他のコミュニティと良好な関係を築くことで、うつ病に対する抵抗力を高められると2人は述べました。



by trevoykellyphotography