By UTSouthwestern Medical Center

アメリカのサウスウェスタン大学の研究チームが、脳のニューロン活動を操作して、鳥に「歌の音節の長さ」を教えることに成功しました。

Inception of memories that guide vocal learning in the songbird | Science

https://science.sciencemag.org/content/366/6461/83

Implanted memories teach birds a song: Newsroom - UT Southwestern, Dallas, TX

https://www.utsouthwestern.edu/newsroom/articles/year-2019/implanted-memories-teach-birds-song.html

Scientists Implant False Memories in Birds to Teach Them Songs They've Never Heard

https://www.sciencealert.com/scientists-implant-false-memories-in-birds-to-teach-them-songs-they-ve-never-heard

実験に用いられたのは、キンカチョウというブンチョウと同じ科の小鳥です。キンカチョウは、親などの成鳥が歌っているのを聞いて歌い方を学ぶという特徴を持っています。



研究チームは実験によって、キンカチョウの脳に内在するNucleus Interfacialis(NIf)とhigh Vocal Center(HVC)という2種類の「歌」に関連した脳領域にあるニューロン間の相互作用を遮断。遮断されたキンカチョウは、すでに歌を覚えていた個体は歌うことが可能でしたが、成鳥の歌を聞いたことがない個体は歌を学ぶことができないようになったとのこと。研究チームはこの実験によって、歌の音節の長さをつかさどる脳領域を特定しました。

この結果を利用して、研究チームはNIfとHVC間の相互作用を光遺伝学(オプトジェネティクス)によって制御し、成鳥の歌を聞いたことのないキンカチョウに「歌の音節の長さ」を教えるという実験にも成功しました。



By UTSouthwestern Medical Center

制御に用いられた光遺伝学は、光によって活性化するタンパク質を遺伝子学的手法によって特定の細胞に発現させ、その細胞を光によって操作するという手法です。近年まで、神経活動の操作実験には電気刺激が用いられてきました。しかし、電気刺激は特定の神経活動のみを活性化する精度が低いといった問題があります。光遺伝学は電気刺激の欠点を補うもので、特定の神経活動を制御できるとして注目を集めています。

実験を主導したトッド・ロバーツ博士は「キンカチョウが歌うために必要な知識をすべて教えたわけではありません」とコメント。ちゃんとした歌を歌わせるには、曲のピッチや音の順序なども教える必要があります。研究チームは今回の発見が将来的に人の脳における音声学習や言語発達に関する研究に役立つと述べています。