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どうしても子どもが言うことを聞いてくれない時、親はつい「いい子にしてないと警察に逮捕されるよ」「駄々をこねるならお店に置いていくからね」といったうそをついてしまうことがあります。こうしたうそは一時的には子どもに言うことを聞かせられるかもしれませんが、長期的に見ると悪影響を及ぼすという研究結果が発表されました。

Parenting by lying in childhood is associated with negative developmental outcomes in adulthood - ScienceDirect

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S002209651830540X

Children told lies by parents subsequently lie more as adults, face adjustment difficulty -- ScienceDaily

https://www.sciencedaily.com/releases/2019/10/191002102759.htm

子育てに追われる親は時間を節約するために子どもに対して手軽なうそをついてしまいがちですが、シンガポールの南洋理工大学で社会科学を研究するSetoh Pei Pei准教授によると、普段は「うそをついてはいけない」と言う親がうそをつくと、子どもは矛盾に悩まされてしまうとのこと。

Pei氏らの研究チームがトロント大学やカリフォルニア大学と共同して行った研究では、シンガポール人の若者379人に対してアンケート調査を行いました。



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アンケートでは、まず最初に「子どものころに親からうそをつかれたことがあるか?」を尋ねました。うその内容は子どもを親に従わせる目的のものに限定されており、「食事の内容に関するうそ」「移動や退去に関するうそ」「子どもの不正行為に関するうそ」「物品の購入に関するうそ」といった4つの種類のうそがあったかどうかを思い出してもらったとのこと。代表的な例としては、「今すぐ一緒に来ないなら、ここに置いていくよ」「今日はお金を持ってないから何も買ってあげられないの」といったうそが挙げられます。

次に、研究者は被験者に対し「大人になってから両親に対してどれほどの頻度でうそをついているか?」を尋ねました。ここでのうそもさまざまな種類がありますが、「活動や行動に関するうそ」「他人のためのうそ」「出来事を誇張するうそ」といったものが対象となります。

最後に、「自分が社会心理的に不適合であるかどうか」についての自己評価と、「利己的または衝動的な行動をしてしまう傾向」についてのアンケートも行われました。

これらのアンケート結果を分析した結果、子どものころに親から多くのうそをつかれた人は、大人になってから親にうそをつきやすい傾向がみられました。また、攻撃性や規則違反といった問題行動を起こす割合が高く、罪悪感や恥を覚えやすく、利己的な性格である割合も大きくなったとのこと。「私たちの研究は、子育てにおいてうそをつくことは、成長した後にまで悪影響を及ぼすことを示唆しています。親はこの悪影響を認識し、うそに代わる手段を探す必要があります」と、Pei氏は述べました。



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今回の研究は「親がどれほどうそをついたか」という点が子どもの記憶に依存しており、将来的にはより多くの情報源からデータを収集することで、より正確な研究ができるとPei氏は考えています。また、今回の研究があくまでも相関関係を見つけたものであり、因果関係を証明したものではないことにも注意が必要だとのこと。

親が子どもにうそをつくことに関して、Pei氏は「親のうそがどのような目的でつかれたものか、どのような内容だったのか」という点も、調査対象として興味深いと指摘。「いい子にしてないと海に投げ入れて魚のエサにしちゃうよ」といった親の権威を振りかざすうそと、「もう家にキャンディーはないよ」といったうそでは、子どもに与える影響が違ってくる可能性があります。

「子どもに対して権威を主張することは心理的侵入の一形態であり、子どもの自律性を損ない、拒絶を示し、子どもの感情的な幸福を妨げるかもしれません」とPei氏は述べ、どのようなうそを特に避けるべきかといったことも、将来的な研究により判明する可能性があると示しました。



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