話題の5Gについてゼロから語る本連載。これまでキャリアの5Gに関わるプランやプロジェクトを紹介しました。

 

前回はラグビーW杯ライブビューイングを通したドコモの取り組みを紹介しました。順番が前後してしまいましたが、今回はドコモが来春に開始予定の商用サービスと同じ環境を準備している、5Gビジョンとプレサービスの詳細を紹介します。

 

すべての可能性を開いていく「5G OPEN」

ドコモが打ち出したキーワードは「5G OPEN」。5Gでさまざまな分野の可能性を開いていくことを目指し、「ドコモ5Gオープンパートナープログラム」のもと3000を超える企業・団体と協創し、スポーツ観戦やライブ、ゲームなど一般ユーザー向けの新サービスを提供します。そして、社会的課題の解決を目指し、医療や建築といった分野でも活用していくビジョンを示しました。

 

↑3000以上の企業・団体と協力

 

↑パートナー企業は、5G技術や画像認識の技術を使って検証できる環境「ドコモオープンイノベーションクラウド」を活用できる

 

プレサービスでは、来春開始の商用サービスと同じ基地局や周波数帯が使用されます。サブ6帯(3.7/4.5GHz帯)、ミリ波帯(28GHz帯)の3つの周波数帯を運用するのは、日本初となります。

 

↑同じネットワーク環境を使用するため、ドコモ吉澤社長は「5Gサービスの実質的なスタートになる」と説明

 

今後の基地局の展開については、ドコモグループの総力をあげて前倒しで進めていくとのこと。まず2020年第一四半期に全都道府県に展開、その1年後には全国で1万局の基盤設置を目指すとしています。必ずしも都市部から設置するわけではなく、地域創生の観点からも考えながら展開していきたいと説明しました。

 

↑日本一の基盤展開率と1万人の技術者を活かして、前倒しで進めていく

 

プレサービスで使用される端末は、ソニー、サムスン、LGから提供された3モデル、合計で約7000台を用意。一般のユーザーは、プレサービスのイベント会場などで端末に触れ、5Gサービスを体験できます。また、法人向けにもソリューション開発や技術検証のために貸し出される予定です。これらの端末はあくまでもプレサービス用のものであり、本サービス用の端末はサービス開始前に発表したいとのことでした。

 

↑ソニー提供の端末。Xperia 1を思わせる縦長のフォルムだ

 

↑サムスン提供端末。Galaxy S10+のよう

 

↑LG提供端末。ケースを付けて2画面化できる

 

ゲームコンテンツやスポーツ観戦が変わる

18日に開催されたイベントでは、一般ユーザー向けの体験コンテンツが展示されていました。

 

まずはMR(複合現実)体験。MRヘッドセットを販売するMagic Leap社と提携し、スマホとヘッドセットを連携させ、実世界に仮想現実を投影するようなゲームや、遠く離れた場所にいる人とのコミュニケーションを可能にします。

 

筆者もMRゲームを体験したのですが、VRのように仮想現実へ自分が入り込むのではなく、現実世界に仮想のオブジェクトが違和感なく入ってくる感覚を味わえました。一部のドコモショップ(d garden五反田、ドコモショップ丸の内店、大阪店、スマートフォンラウンジ名古屋)で体験できます。

 

↑ユーザーには、部屋の壁が破られて敵キャラクターが侵入してくるところが見えている。VRヘッドセットとは異なり、椅子や壁が見え、そこに人物やキャラクターなどが投影されるような仕組み

 

5Gの特徴である複数接続を活用したのが、ゴルフのスイング解析。日本プロゴルフ協会と連携したサービスで、スイングを撮影し、スイングスピードや球速、弾道など複数の情報を解析できます。また、それらの情報をもとに離れた場所にいる講師から遠隔レッスンを受けられます。この実証実験は12月より開始予定です。

 

↑スマホでスイングを撮影し、瞬時に解析

 

↑遠隔地にいる講師が映像・情報を見ながらアドバイス

 

スポーツ観戦でも5Gを用いたプレサービスを実施します。現在開催中の「ラグビーワールドカップ2019 日本大会」では、ライブビューイングを2度(9/20、10/13)開催。会場では専用端末で複数視点からリアルタイムで観戦できるほか、試合の映像やスタジアムの音声を楽しめます。

 

↑下の画面で視点を選択すると映像が切り替わる。リプレイの再生も自由にできる

 

セキュリティや医療分野での活用例も

一般ユーザー向けのコンテンツの他に、企業と提携した法人向けのソリューションも展示されていました。

 

セコム、AGC、DeNA、ドコモの4社が開発したのが「バーチャル警備員」。大型のディスプレイに警備員を映し、周囲の警戒監視や来客への自動応答などを行います。防災センターと5Gでつながるため、映像や音声の通信が遅延なく行えます。警備業界の人手不足解消と、高まるセキュリティニーズの両方にアプローチできるサービスです。

 

↑見た目や大きさを人に近づけることで、抑止力を高めるねらい

 

↑映像を見ながら自動応答などで対応。必要があれば、マイクで応答できる

 

医療分野においては、機器をネットワーク接続し、心電図やスキャン画像など各種データを1つのモニターに映したり、術中の映像を経験豊富な医師が監視し、執刀医に助言を行ったりといった活用例が紹介されました。さまざまな情報をすばやく、統合的に把握できるので、手術の精度や安全性の向上が期待できるほか、医師の育成にもつながるでしょう。

 

↑1つのモニターに映すことで、統合的に把握でき、それにかかる時間も短縮できる

 

今回発表されたサービスは、あくまでも「プレサービス」。実証実験の段階であり、体験できる機会も限定的です。5G時代のキラーコンテンツとなりそうなものは、ドコモ自身もまだ手探りのようでした。

 

しかし同時に、複数視点のスポーツ観戦・ライブ鑑賞、ゲームコンテンツなど、思っていたよりも具体的な活用例を見せてもらえたとも感じています。実際に体験してみて、5Gがもたらす快適さや楽しさをわずかながら感じることができました。

 

また、医療や建築、教育などの分野での活用例を見ると、5Gはユーザー個人だけではなく、生活全体、社会全体を変える可能性を秘めていることも実感しました。

 

ドコモは、5Gをなるべく早く提供したいとしつつ、同時にユーザーが利用できるサービスやコンテンツも提供しなければいけないと述べていました。また、プレサービス期間中には100の活用例の検証を目指しているとのこと。画期的なサービスやキラーコンテンツが登場するのかどうか、今後も注目です。

 

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