前回のミャンマー戦で、橋本は守備重視のプレーをしていた。だが、スペースを意識し過ぎて、前への意識がもう一つ足りなかった。少なくとも遠藤ほど前への絡みはなかった。代表21試合目となる遠藤のプレーを見せて、橋本にボランチとしてのレベルアップを促しているのは容易に察しがつく。
 ボランチには、橋本に加え、まだ板倉滉、三竿健斗、中山雄太、田中碧らの若手、さらに山口蛍、大島僚太らもいる。今は柴崎が軸になっているが、パートナー探しは、この日の選手起用を見ても、まだ続くだろう。
 
 今回、堂安と橋本に向けて、森保監督はメッセージ付の「刺激の矢」を放った。それは、とりわけレギュラー扱いになっていた堂安に出したところに意味がある。主力として起用されていても“絶対はない”ということだ。同時にこれは他の選手へのメッセージにもなったはずだ。クラブでも代表でも成長し、結果を出していかないと椅子は奪われる。攻撃的MFには久保健英、三好康児らまだまだ有望な選手がいる。ウカウカしていられないということだ。
 
 逆に伊東、遠藤は見事に森保監督の期待に応えた。また、途中から出場した原口元気、鎌田大地からもガツガツした闘志が感じられた。こうした小さな積み重ねが最終的にポジション取りに繋がっていく。
 
吉田麻也は言う。
 
「僕のポジションもそうですけど、すべてのポジションで競争が生まれることが、チームが活性化するチャンスになるかなと思います」
 
 選手がそれを意識し、実感できるチームには活力が宿り、強くなる。次は、どのポジションに「刺激の矢」が放たれるのだろうか。
 
取材・文●佐藤俊(スポーツライター)

【PHOTO】日本×モンゴル戦を彩った「美女サポーター」たち