3アシストを記録した伊東純也。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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 森保ジャパンはワールドカップ2次予選2戦目を大量6ゴール、無失点で勝利。格下モンゴル相手だったとはいえ、この勝利は弾みがつくでしょう。 今回もほとんどメンバーを変えずにいつものメンバーを招集した森保監督。その中でスタメンで変化をつけてきました。怪我の大迫選手のところに永井選手、ボランチに遠藤選手、そして右サイドに堂安選手ではなく伊東選手を起用してきました。これはおそらく15日のタジキスタン戦と2試合トータルでの選手起用を睨んでのものだと思われますが、この選手起用が当たりました。 左利きの堂安選手は右サイドからカットインしてきてゴール前に迫るのが持ち味。ペナルティエリアの”面”で行くと正面からエリア内に侵入するのを好む選手です。対して右利きで非常にスピードのある伊東選手はペナルティの脇、側面からチャンスを構築します。伊東選手の起用により、右サイド外から侵入する絵を瞬時に描けた日本は、開始早々、右サイドからのクロスでチャンスを作りました。 数回のクロスに対するモンゴルの守備陣の対応を見て、日本の選手たちはチャンスと見たでしょう。サイドにボールを置かれるとディフェンダーはボールと相手を同時に見ることが困難になるため、こまめにポジションを移しながら適切なポジションを取り続けなければいけません。しかし、モンゴルのディフェンダーたちはボールを見るばかりで、相手を確認することをしません。そうなれば、日本の選手たちからすればディフェンダーの間に立てばフリーになるのは容易です。すぐにサイドからのクロス攻撃を多用していきました。
 功を奏したのは前半の半ばに突入したところでしたが、それは時間の問題だったと思います。この日、再三にわたり質の高いクロスを送り続けた伊東選手からのボールを今や日本代表のエースに成長した南野選手が見事に打ち抜き、先制点を挙げました。 その後も特に右サイドを起点に得点を重ねる日本代表。モンゴル代表の選手たちにとっては経験したことのない精度だったのでしょう。なすすべなく失点を重ねてしまいました。 日本代表はセットプレーでも先月からの改善を見せました。先月は高さで優位性を取れると見るや、高いボールをエリア真ん中の位置に入れて、そのまま立った状態で高さ勝負する場面が多く、身体をつけられるとチャンスを逸してしまう場面が多かったのですが、モンゴル戦ではニアに走り込んで、より強いボールで勝負させました。それも、そこに遠藤選手、酒井選手、吉田選手など競り合いの強い選手を勝負させたため、何度もゴールに迫ることができました。実際にゴールにも結び付けられましたし、最終予選を睨んでも、セットプレーの改善は良かったと思います。
 6−0ですから、よくない点を挙げるのは簡単ではない試合です。”伊東選手を起用した場合の右サイド”はひとつ、森保ジャパンの戦術の幅を広げる試合になりました。選手たちは最後まで意欲的にプレーを続け、モンゴルに付け入る隙を与えませんでした。結果も出しました。 その上で、上乗せしていくとしたら、今日の相手のようには外からの単純なクロスで得点が取れない相手に対した時の攻め手の提示でしょうか。レベル差のある相手に対し、最も効果的なのは確かにサイドからのクロス攻撃です。それは前述したように、ディフェンダーが適切なポジションを取り続ける習慣がないから。普段はその必要がないわけですからね。 しかし、レベルが同等か、それ以上の相手には今日のような外からのクロスでは、いくら質が高くても、体格に劣る日本では確率高くゴールを落とし込むのは難しいでしょう。その時に必要な上乗せという点では、少し物足りなかったかもしれません。

 サイドバックの外からではなく、より内側のセンターバックとの間まで潜り込んでいくための方策、外を空けるための中の崩し、そのバリエーションは大量得点が入った後にもう少し見たかったところではありました。 ただ、チーム内の競争意識はより高まり、戦術の幅が広がり、何より結果を出して、しっかりとした歩みを進めることができたことは確か。次はより技術的にも戦術的にも整備されたタジキスタンとの試合になります。日本代表のレベルアップのためにも、もう少し拮抗した試合を期待します。【著者プロフィール】岩政大樹(いわまさ・だいき)/1982年1月30日、山口県出身。鹿島で不動のCBとし2007年から前人未踏のJ1リーグ3連覇を達成。2010年の南アフリカW杯メンバーにも選出された。現在は解説者として活躍中。