3回、二盗を決める近本

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 「セCSファイナルS・第2戦、巨人6−0阪神」(10日、東京ドーム)

 わずかでも希望が残されている限り、気持ちに揺れはない。敵軍の勝利を祝う歓声が響き渡る通路を悔しそうな表情で歩いた阪神の近本。長いトンネルから抜け出した。連敗を喫して土俵際に追い込まれたが、猛虎打線の切り込み隊長が残した1安打1盗塁は次戦につながるはずだ。

 久々の快音を響かせたのは三回だ。1死走者なしで打席に立つと、メルセデスの直球に反応して三遊間を破った。15打席ぶりとなる左前打。忘れかけた感触を再び両手に取り戻した。

 出塁してからが、盗塁王の見せどころ。ここぞとばかりに持ち味を発揮した。続く北條が打席に立った場面。盗塁を警戒した巨人バッテリーから4度けん制を受けた。エンドランの指示があったこともあり「いいスタートじゃなくてもいい状況だったので」と3球目に慎重にスタートを切った。北條は空振りしたが、送球が逸(そ)れたことも重なって悠々とセーフ。得点には結び付かなかったが、今CS3個目の盗塁で得点圏に進み、好機を広げた。

 短期決戦。不振に悩んでいる暇はない。試合前の打撃練習では、本来使用するバットよりも数十グラム重いバットを使用。試合でもその日の状況に応じて、スイングしやすい重さを選んで打席に向かっている。

 チームとしてルーキーの復調は好材料だが、勝つためには打線のつながりが必要不可欠だ。矢野監督は「打線の奮起っていうのは必要になってくると思う。まあ、まずはウチとしては先に点を取りたい」と、2戦連続初回得点で連勝した巨人のように先手必勝を願う。

 負けるか、引き分けでもファイナルSでの敗退が決まり、今シーズンが終了する。勝ちにいく。それだけだ。「しっかり塁に出て、ホームにかえってきたい」。猛虎の韋駄天(いだてん)が打線の起点となり、終戦の文字を遠ざける。