9回、死球を受け一塁へ向かう福留(8)を見つめ、険しい表情の矢野監督(右奥)

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 「セCSファイナルS・第2戦、巨人6−0阪神」(10日、東京ドーム)

 土俵際に追い込まれた。阪神が巨人に完封負けを喫して連敗。優勝チームに与えられるアドバンテージの1勝含んで3敗となった。負けはおろか、引き分けすら許されない戦い。5年ぶりの日本シリーズ進出に残された道は4連勝のみ。前だけを見て、突き進め。

 東京ドームに響く大歓声が不快指数を増幅させた。完封負けで投手陣も6失点。意気消沈しそうな敗戦で、確率的にも追い込まれた。過去12度のCSファイナルSで、0勝3敗から日本シリーズに進出したケースはない。

 確率0%−。ただ、矢野監督は絶望的な状況でも、ファイティングポーズを崩さなかった。しっかりとした口調で再起を期した。

 「ずっと言っているけど、苦しい時にどうやって楽しむか。プロで楽しむのは、なかなか簡単なことじゃないんだけど、そう言ってずっとチームとしてやってきたんでね。もう、うちは4連勝しかないんで。それを目指してやっていくしかない」

 第2戦でも矢野阪神の野球は貫いた。巨人先発はシーズンで2戦2敗のメルセデス。苦手意識を払拭(ふっしょく)するように攻めた。

 初回1死一塁では打者・福留の6球目にランエンドヒットを仕掛けて、北條が二盗を決めた。三回無死は先発の高橋遥に代打・上本を起用。1死後に近本が左前打を放つと、北條の3球目に二盗を決めた。得点にはつながらなかったが、強気な采配はぶれなかった。

 投手陣は5投手中4投手が失点したが、シーズン終盤から登板過多となっており、一切責めることはなかった。「勝負にいっているんだから、打たれることもある。攻める姿勢は見せてくれている」。手応えを口にし、3戦目以降の巻き返しを期待した。

 日本シリーズ進出には、負けも引き分けも許されない状況となった。だが、選手と描いてきた軌跡が、崖っぷちでも気持ちを奮い立たせる。

 シーズン終盤は負けたら終戦の状況から、奇跡の6連勝で逆転CS進出を決めた。勢いに乗って、CSファーストSではDeNAに競り勝った。逆境を切り開いてきた自信がある。

 「明日も全員で、この土俵際ギリギリのところからね」。まだまだ終わらせない。頼もしい選手と、また奇跡を起こす。