共にIPU出身のキャプテンの18番、阿久根真奈(右)と、9番の大矢歩(左)(C)J.LEAGUE

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「背番号3、愛媛に尽くすオシャレ番長!向谷綾香〜」
「背番号4、とうちゃん、かあちゃん今日も見ててね!愛媛のダイナモ活躍します、鎌田蘭〜」

 2019プレナスなでしこリーグ2部、愛媛FCレディースと大和シルフィードの第15節。

 いつもと違う選手紹介に愛媛県総合運動公園球技場に集った426人のファンから笑い声が漏れる。観客席に設けた放送席から場内マイクで爛リジナルコール瓩鬚垢襪里浪我で出られない横山亜依選手だ。また公式記録やマスコミ受付などを担当する運営スタッフもほとんどがメンバー外や下部組織の選手たち。試合前も選手とファンが気軽に会話をするなど、ここにはJリーグとは違う手作りムードが漂う。

 前期終盤に首位に立った愛媛FCレディースは好調をキープし愛媛史上初の1部昇格までカウントダウンとなっていた(1位自動昇格、2位入替戦)。

「レディースには教え子も多いのでよく見に行ってます。昇格しそうなのでメチャクチャ気になりますね!」

 現男子トップチームを率いる川井健太監督は元愛媛FCレディースの監督だ。さらにIPU環太平洋大学短期大学(旧愛媛女子短期大学)サッカー部の監督も歴任していたので、今のチームには川井監督の教え子たちが多い。

 J2リーグを戦う男子トップは先日、京都と引き分け、勝点を39とし残留のめどが立ち一安心。一方、女子はここから大きな佳境を迎えていた。

 愛媛FCレディースは2011年に立ち上がり、初代・江後賢一監督(元愛媛FC選手)で四国リーグ、チャレンジリーグを経てなでしこリーグ2部に昇格。

 愛媛FCはそれ以前の2009年から愛媛女子短期大学と提携を結び女子サッカー部を創設。初代監督に元トップチームの選手だった川井監督を就任させ地元で選手を育成しレディースチームに送り続けていた。そして2015年から川井監督が愛媛FCレディース2代目監督を3年間務めた。

 つまり今の愛媛FCレディースの礎を築いたのは川井監督だと言っても過言ではない。「当時は(川井)監督がハイエースを運転して松山や県外まで試合しに行って、大学のある宇和島まで何時間もかけて帰ってました。途中積雪で山中に何時間も閉じ込められたこともありました(笑)」在籍8年目、現レディース主将の阿久根真奈(IPU出身)が懐かしそうに振り返る。
 愛媛FCレディースが活動を初めて約10年。カデゴリーや環境面、認知度などが大きく変化したけれどずっと変わらないものがある。

「今の男子トップと同じでボールを大切にして主導権を握る。観ててもやってても楽しいサッカーをする。そこは一切ぶれずに引き継いでいます」胸を張って答えたのはレディースコーチ時代川井監督の右腕だった赤井秀一現監督だ。

 しかしこの日の試合では大和の素早い寄せに立ち上がりから苦しんだ。元女子日本代表で大矢歩、上野真実(共にIPU出身)らの攻撃が封鎖され前半30分まで流れの中からのシュートは0。後半も攻め手を欠き結局0−0スコアレスドローで終了した。

 大矢、上野とも「決して(昇格が見えてきたことで)受け身になったわけではない」と断ったうえで「もっと前線が少ないチャンスを生かさなければいけなかった」と肩を落とした。

 これで3試合を残し2位と勝点差5となったが依然、初優勝の可能性は高いままだ。ここ数日で周りの反響は目に見えて大きくなってきた。男子トップもいまだ成し遂げていない愛媛FCクラブ史上初の1部昇格まであと少し。

 もちろん昇格してもプロ選手になれるわけではなく仕事をしながらのアマチュア契約のままだ。それでも彼女たちがトップカテゴリーを目指し続けるのは純粋に「強くなりたい」や「これまで支えてくれた人の為」であり「愛媛女子サッカーの発展につながる」と信じているからだ。

 なでしこリーグ2部は10月26日の18節が最終節。今年愛媛で昇格が実現しそうな2チームの内、JFLを戦うFC今治より早くその吉報は届きそうだ。

取材・文●江刺伯洋(南海放送アナウンサー)

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