渡辺謙と加瀬亮

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渡辺謙と加瀬亮が、10月9日にTOHOシネマズ 日本橋で行われた映画『ベル・カント とらわれのアリア』ジャパンプレミアに登壇した。

渡辺謙&加瀬亮、その他の写真

本作は、1996年にペルーで起こった日本大使公邸占拠事件にヒントを得、テロリストと人質の予期せぬ交流を描いた作家アン・パチェットの小説「ベル・カント」を映画化した作品。危機的状況の中、人質の1人である世界的オペラ歌手ロクサーヌの歌声が彼らにどんな影響を与えたのか? 人の心を救うのは力ではなく、美しい芸術や温かな交流だと教えてくれる感動の人間ドラマとなっている。

オペラ歌手ロクサーヌ役を、『アリスのままで』でアカデミー賞主演女優賞に輝いたジュリアン・ムーアが演じ、そんなロクサーヌの大ファンである実業家ホソカワ役を渡辺、ホソカワの通訳をつとめる聡明で沈着冷静な男ゲン役を加瀬が演じている。

渡辺は、本作への出演オファーを受けたときのことを聞かれ「実は自分が最初にこの話を聞いたのが9.11(アメリカ同時多発テロ)の直後だったと思うのですが、(映画の中に)テロリストが出てくるし、さすがに9.11のあとテロリストが出てくる作品はどうだろうと一旦はご遠慮したんです」と回答。それでも出演を決めた経緯について「実はもう1つの(出演)理由として、この作品のベースになっているペルーの日本人大使公邸占拠事件が起きる1週間前まで僕はリマにいたんです。ドキュメンタリーの仕事だったのですが、1ヵ月くらいペルーを旅していました。もし、そのまま1週間後まで滞在していたら、自分もこの事件に巻き込まれていたかもしれないと思うようになって。そう考えると、この映画は宿命で、やらないと先に進めないんだと思ったんです」と続けた。

また、実際には英語が堪能な渡辺が、劇中では英語ができない役を演じているが、このことに関し「実は僕はこんなもんなんですよ」とジョークを飛ばしつつ、「英語のセリフを聞いていると、つい、英語的なリアクションをしてしまうんです。それをわからないふりをしたり、以前『ラストサムライ』を演じていた頃、わからないんだけど理解しようとしていたときを思い出して演じるようにしました」と語った。

一方、英語、スペイン語のみならず、フランス語、ドイツ語、ロシア語まで劇中で話さなければならなかった加瀬は、渡辺曰く「大変で目がサンカクになっていた(笑)」そうで、「時間があるときに『飯行くか?』と声かけもできなくらい」な状態だったという。これについては加瀬も「撮影中も部屋の中で語学の勉強ばかりやっていました」と振り返り、「でも、そんなとき、朝、楽屋にいくと謙さんが握ってくれたオニギリがあって、それを頂いていました」と明かした。

さらに加瀬は「『硫黄島からの手紙』のときには謙さんとほとんど絡みがなかったので、本作で近くでがっつりご一緒できて勉強になりました。でも僕の役名がワタナベゲンで、作者の方が謙さんのファンだったからこの名前になったらしいんですけど、謙さんの前で役名を話すのは恥ずかしかった」と話すと、渡辺も「僕もこっちの役のほうがいいんだよなって言ったんだよ」とおどけつつ、「僕は今回加瀬くんと一緒でとても心強かったし、彼が大変な思いをしてやっているのもたくましく思えた。こういったビッグバジェットでなく撮影日数も限られている作品でも、こういう頼もしい後輩がリードしてくれたのは嬉しかった」と加瀬への信頼を口にする。

また、本作で共演したジュリアン・ムーアについては、「非常にプロフェッショナル。普段はフラットな気のいいおばちゃんて感じなんだけど、役に入ると妖艶だしオーラもあって。劇中の役のとおり彼女とも少しずつ距離を縮めていきました」(渡辺)、「思っていたより気さくな方で、でも、つい話をしていると本番が始まってしまい、僕は戸惑いました。本番前まで携帯で(彼女の)娘の写真を見ているから、ジュリアンのペースに巻き込まれてしまうと僕が集中できなくて」(加瀬)とそれぞれ答えていた。

『ベル・カント とらわれのアリア』は11月15日よりTOHOシネマズ 日比谷ほかにて全国公開となる。