鹿島アントラーズ入りを決めた静岡学園高MF松村優太。10日の仮契約後、鹿島のユニフォームに袖を通してガッツポーズ

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 “静学のアザール”“スピードスター”が「常勝軍団」へ――。鹿島アントラーズは10日、静岡学園高のU-18日本代表MF松村優太(18)が2020年より加入することが内定した、と発表した。静岡学園から直接鹿島入りするのはDF伊東幸敏以来。ルーキーMF名古新太郎(東淀川FC、静岡学園高、順天堂大出身)の中高の後輩に当たる松村は、10日に鹿島と仮契約を結び、Jリーグを代表する名門クラブからプロ入りすることになった。

 “静学のアザール”“スピードスター”とも評される松村は、名門・静岡学園で昨年から台頭し、今年は同校の10番を背負う。全国出場こそないものの、静岡県選抜の一員として出場した「静岡県ヤングサッカーファスティバル」や「SBSカップ国際ユースサッカー」で日本高校選抜や各国の年代別代表チーム相手に抜群の攻撃力を発揮している。

 練習参加した清水と磐田など複数のクラブが獲得を目指していたが、松村はオファーが届いてから2か月以上熟考した末に、昨年のアジア王者でJ年間王者8回の「常勝軍団」への加入を決断。松村は「最初、(7月に鹿島からの)オファーを聞いた時は驚いたというのが大きかったんですけれども、チームは日本でトップレベルだと思っている。嬉しさとワクワクというのが大きい」と語り、「(鹿島は)どの選手が出ても、どの大会でも結果を残している『常勝軍団』。自分はプロに行ってもまだ挑戦して成長し続けていきたいというのがあった」と鹿島入りを決断した理由について説明した。

 鹿島から評価されているポイントは「個性」だ。静岡学園の川口修監督によると、オファーの理由は「個性がある。ボールを持ってから速い。相手の前にググッと潜り込んで行くタイプは鹿島にいない。ただ、速いだけじゃない」ことだという。プロサッカー選手70名以上を輩出している”元祖技巧派軍団”静岡学園で磨かれた「個性」。元々のスピードに加えてタッチの繊細さなどがレベルアップし、本人も得意のドリブルでボールを取られなくなったことを実感している。

 プロ入りの原動力となったのは技術とスピードだけではない。大きかったのは、負けず嫌いな性格と、旺盛な向上心だ。本人も自分の性格について「負けず嫌い」と即答。タレント揃う静岡学園の現3年生の中でAチームに昇格したのは4、5番目と決して早くなかった。だが、先行くライバルに負けたくないという気持ちで地道に積み重ねてきた成果をピッチで発揮。強強豪相手でも試合を決定づけるような活躍を続ける松村は、“トップクラブ”からのプロ入りを勝ち取った。 

 松村について印象的なのは、常に”満足していない”ということだ。どんなに活躍しても試合後に発していたのは、「全然」「まだまだです」といった自身に対する戒めの言葉。もちろん、ゴール前の質の向上などまだまだやらなければならないことはたくさんある。だが、「自分に対して厳しいというのは必要」という松村の向上心と常に努力し続ける姿勢、そして「(進路の選択など)自由にさせてもらった」という親への感謝の気持ちは、鹿島での厳しい競争を勝ち抜くための力になりそうだ。

「縦への推進力、自分が持って運べるというのがやっぱりなかなかいないと言われているので引き続きやっていくことと、決定的な仕事ができていければ良い。もちろん、自分は1年目から出るつもりでやりますし、どれだけレベルの高い選手とポジション争いをすることになっても、めげずに、諦めずに地道にやっていきたいと思っています。自分の個性にしっかりと自信を持ってやること、他と違いを出せれば自分にもチャンスが出てくると思う。そこはしっかりと自信を持ってチャレンジしていきたい」

 鹿島はすでに尚志高のU-18日本代表FW染野唯月と東福岡高のU-17日本代表MF荒木遼太郎という高体連を代表する実力者の獲得を発表済み。松村は彼らとともに名門の次世代を担う。

 全国的な知名度では”新・半端ない”FW染野やAFC U-16選手権優勝メンバーの荒木に劣るが、選手権の活躍でそれを覆す可能性は十分にある。もちろん、それだけが目標ではないが、本人は必ず選手権に出てより多くの経験を積んでから鹿島に加わる意気込みだ。

「最後の最後にもう一回チャンスがあるということに感謝して、自分が(選手権に)連れていくくらいの気持ちでやっていきたいと思っていますし、そこに行くことが最後やっていかないといけないことだと思うので、みんなでしっかりと頑張って達成したい」。将来、海外進出の野心を持つスピードスターは染野や荒木、鹿島のチームメート、Jリーグのライバルたちに「絶対負けない」という気持ちを持って個性を磨き、鹿島、日本を代表する存在になる。 

会見を前に鹿島入りを決断した理由や選手権への意気込みを語った


(取材・文 吉田太郎)