モンゴルに「朝青龍並の怪物FW」は生まれるのか?現地で“バトる”日本人DFが教えてくれた

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2022年カタールW杯2次予選の日本代表vsモンゴル代表の一戦が、本日19時35分から埼玉スタジアムで行われる。

モンゴルは過去サッカーにおいて目立った成績を残したことはないが、大相撲で怪物的な横綱を輩出するこの国には“未知なる逸材”が眠っているのではないか…そんなことを想像する日本人も多いことだろう。

そこでQolyでは2015年からモンゴルでDFとしてプレーし、また元横綱の朝青龍氏とも交流があるという佐々木瑞穂選手にお話しをうかがい、「モンゴルから朝青龍クラスの怪物的FWは生まれるのか」という無謀な質問をぶつけてみた。

元横綱・朝青龍との交流

Qoly(以下略):佐々木さんはSNSのアイコンに朝青龍さんと2ショットで映っておられますね。どういう関係なんでしょうか?

佐々木(以下略):ドルジさん(朝青龍氏の愛称)とは、最初、現地の日本人でお世話になってる方が紹介してくれました。

僕はモンゴルの言葉が話せるということと、一緒にいた息子さんがテレビで僕のプレーを観てくれていて、ドルジさんに「この人モンゴルで有名な選手だよ」と言ってくれたみたいで。それで目にかけていただけるようになったんです。

ーー定期的な交流がある感じですか?

いいえ、通算で会ったのは4回です。初回以外はお酒の席でした(笑)。

ーー(笑) 朝青龍さんは今回来日され観戦されるそうですね。彼はサッカー通、チェルシーなどプレミア好きであることも知られていますが、一方、モンゴルサッカー界との直接的なかかわりはほとんどないそうで。

そうなんですよ。昔はお金の横領があったりで、それで協会への不信感が消えないみたいです。

ただ、この数年で協会の体制も変わり、国内に日本人選手も増えたことや、最近の代表の躍進もあって関心は高まってると思います。

僕のSNSでサッカー関係の投稿をした際にも、最近ドルジさんからコメントが増えてるんですよ。

ーーどんな感じのコメントというか反応なんですかね?

「レベル上がってるなー」的な感じです(笑)。

モンゴルから怪物的なFWは出現するのか

ーーその朝青龍さんといえば、大相撲の長い歴史においても有数の身体能力で知られた横綱でした。日本のサッカーファンはモンゴルのサッカー界にそんな怪物的な選手が出てくるのか気になっているのではないかと思いますが、実際にDFとしてプレーされていてモンゴル人選手の特徴はどうですか?

ひと言でいうと「強い」「速い」ですね。簡単なミスはあるんですが、とんでもないシュートぶち込んできます。

身体能力については、普段の食事が肉中心なのでしっかりトレーニングしてれば闘える身体にはなります。ただ、リーグのなかにはトレーニングが足りず、腹出てる選手もいますが(笑)。

基本的に身体をぶつける、闘うのが大好きな国民性なんです。

ーーそうした身体能力が高い相手に、佐々木さんはDFとしてどのように対応していらっしゃるのでしょうか?

言葉は悪いですが、僕は殺すつもりで球際や空中戦を戦ってます(笑)。

ーー殺すつもり…朝青龍さんっぽい(笑)

ドルジさんもそう言ってました(笑) あと、現地の言葉で統率することですね。

彼らは自分達の国に誇りを持っています。だから現地の言葉が話せる僕はドルジさんにもモンゴルの人にもよくしてもらえているという感じはします。

ーーではズバリ、近い将来モンゴルから朝青龍さんのような怪物的なFWというか、世界のトップリーグで活躍する選手が出てきますか?

生まれると思います。大迫勇也選手のようなタイプではでなく、ドラゴン久保竜彦選手のようなタイプの怪物が“必ず”出てきますよ。

ーーおお。

ただ優れた指導者が不足していますし、あとはグラウンド。モンゴルはやはり寒いので、冬も使えるドーム式のようなものがあればと。あと、ボールやスパイクも不足してるかなと思います。

そしてもちろん努力を継続することですね。

ドルジさんも言ってたのですが、モンゴル人の弱点は“集中力の波”です。

ただ僕はそのことは必ずしも悪い意味だけでなく、モンゴル人の武器だと思います。ドルジさんも自分自身でそれを知っていたので普段はおちゃらけて、取組では集中力を極限に高めていたと言ってました。

ーーなるほど。モンゴルサッカーにはどのように発展していってほしいという気持ちですか?

モンゴルにはモンゴルならではのサッカーの道を進んでほしいなと。日本のサッカーとももっと交流が深まれば、モンゴルのサッカーだけでなく、日本のサッカーにも良い影響があると思います。

日本代表が警戒すべきやばい選手

ーー今回の来日メンバーで「こいつはやばいぞ」という選手がいれば教えてください。

GKのアリウンボルド・バツァイハンは、良い時は信じられないセーブを連発しますね。逆に悪い時は信じられないミスを連発しますが(苦笑)。

あとストライカーのナランボルド・ニャムオソル。彼はトラップなどボールコントロールは稚拙なんですが、体の強さとスピードが半端なくて、両足からミサイルみたいなシュートをぶち込んできます。

ーー今回の試合にはどのようなことを期待されていますか?

僕は日本人ですが、モンゴルサッカーに夢を叶えさせてもらってるのでモンゴル代表を応援します。

先ほど話した選手たちを筆頭に彼らの持ち味である集中力をしっかり発揮して、0対1でモンゴル代表に勝って欲しいです!

ーー最後に、佐々木さんは現在33歳ということですが今後の目標や挑戦したいこと、あるいはモンゴルとどのような関わり方をしていきたいなどあれば教えていただけますか。

僕は今年、初めて3部リーグでプレーして、チームを優勝、昇格、個人的に最優秀DFをいただくことができました。来年は2部リーグを優勝して、また最優秀DFをとって、再来年1部リーグで優勝するのが今の目標です。

モンゴルは僕の夢を叶えてくれた国なので、どんな形か分かりませんがずっと関わらせていただきたいなと考えています!

佐々木 瑞穂

東京都立久留米高校を卒業後、セントラル中国(現デッツォーラ島根)、カマタマーレ讃岐(当時は四国リーグ)、町田ゼルビア(セカンドチーム)、コバルトーレ女川、スペリオ城北、TFSCでプレー。

ただプロになる夢はかなわず、2015年、「最後の挑戦」として海外に。トライアルを経てモンゴル1部のFCウランバートルと契約を結び、念願のプロ選手となった。

今季は3部リーグのライオンズFCで最優秀DFに輝き、チームのリーグ優勝に貢献している。33歳。