マイナーチェンジしたプリウスは、昨年12月から発売された(写真:トヨタグローバルニュースルーム)

日本自動車販売協会連合会の乗用車ブランド通称名別順位で、2018年の年間販売台数トップに立った日産自動車のノート。今年に入ってからも1〜3月まで月販台数でトップを守ってきたが、4月には4位となり、替わってトヨタ自動車のプリウスが1位に返り咲いた。


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月販台数での上位は、ここ数年来ノートとプリウス、そして同じくトヨタのアクアとの間で接戦が続いており、何かの綾で順位が入れ替わる可能性は高かった。そうはいっても、2016年末にシリーズハイブリッドのe-Powerが車種追加されて以降、ノートの販売台数は首位を争う存在へと急上昇してきた。

これにより、それまで日産の販売を支えてきたミニバンのセレナとともに、ノートは屋台骨としての重要度を一層高めることになった。したがって、今年4月にプリウスが再び首位に立ったことが、1つのニュースとなりえたのである。

誕生当初は外観の造形に賛否も

現行のプリウスは、2015年に4代目としてフルモデルチェンジをして登場した。トヨタのハイブリッドシステムは、THS兇箸靴2代目より継承され、現在も名称は変わらない。だが、現行へのモデルチェンジに際して、動力伝達機構を大きく変更し、進化させてきた。

また、トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー(TNGA)と呼ばれる開発手法の第1弾として、現行のプリウスは走行性能と乗り心地の両立など走りの質を大きく高めた。トヨタは、1997年に初代プリウスを誕生させ、20年近くにおよぶハイブリッド車開発の蓄積に満足することなく、進化の道を歩み続け、現行プリウスへ最新技術を投じてきた。

一方、その外観の造形については、賛否が分かれた。これまでの先進的でありながら多くの人の目に馴染む造形から、一目でほかと違うと認識させはするものの、好き嫌いがはっきりでる造形に変えてきたのである。それが、多少の足かせとなってきたかもしれない。発売された当初から月販台数で1位を得てはきたが、購入や買い替えに躊躇した消費者もあったのではないか。トヨタ自身、3代目ほど販売当初の伸びはないと感じてきた。

2017年にプリウスPHV(プラグインハイブリッド車)がモデルチェンジをして2代目となり、母体は現行プリウスだが、外観の造形はより洗練された姿となっていた。前型プリウスにもPHVはあったが、トヨタは積極的に販売してこなかった経緯がある。

だが2代目となる新型プリウスPHVは、明らかに販売増を意識した外観の造形と、性能の面でも飛躍的な進化をもたらしてきていた。ことにその外観を見た人々は、プリウスPHVの造形により好感を覚えたのではないだろうか。発表会場で、トヨタの内山田竹志会長は、「次世代車の次の本命」と、プリウスPHVを紹介している。

そのプリウスPHVに似た造形が、マイナーチェンジにより昨年12月に発売された現行プリウスにもたらされた。それまで、同じトヨタ車同士で5ナンバーのハイブリッド車アクアにも先行される場面のあったプリウスが、4月にノートを逆転すると、7月まで1位を走った。

安全支援の面でも機能が充実

マイナーチェンジ後のプリウスは、2代目プリウスPHVで搭載された大型の液晶画面を室内に採用したことも、先進感覚を前進させた。専用の通信機をすべての車種に標準装備したことで、クラウンやカローラスポーツでトヨタが力を入れはじめたコネクティッドカーの価値を、プリウスも手に入れた。


マイナーチェンジしたプリウスの車内(写真:トヨタグローバルニュースルーム)

これは、単に見栄えとしての新しさのみならず、プリウスが初代から位置付けられてきた次世代車としての機能がトヨタでの最先端に並んだことを意味する。オペレーターによる支援や、最新の道路情報を基にした走行ルートの検索などを、グレードの区別なく利用できる。

ほかにも、安全支援の面で、昼間の歩行者を検知する衝突軽減ブレーキや、車線維持を支援するハンドル機能と警報、前を走るクルマに追従して走行できるレーダークルーズコントロール、そしてハイビームを積極的に利用できるオートマチックハイビームを組み合わせた装備を、これもどのグレードでも注文可能にするなど、運転中の不安や負担を減らす機能が充実した。

これに対し、ノートのe-Powerは、これまでの2年ほどでいったんは消費者へ行き渡った状況があったのではないか。タクシーにも、ノートe-Powerを見かけるようになり、それは2代目プリウスが大きく販売を伸ばしたとき、数多くのタクシーに採用されたのに似ている。そしてプリウスは、2代目から3代目へとフルモデルチェンジした。

数字的にも、このところ対前年同月比の販売台数で100%を下回る様子がノートには出てきており、この点からも行き渡り感はみえてくる。

それ以外にも、プリウスのマイナーチェンジで充実された運転支援が、日産車の中でノートにはまだ装備されていない。プロパイロットと呼ばれる運転支援機能は、すでに軽自動車のデイズでも搭載できるようになった今日、プリウスとの競り合いにおいて、ノートの1つの弱点となる可能性はある。

実は、トヨタのアクアもノートと同様だが、私自身、執筆に際して装備を再点検した折、ノートにプロパイロットが搭載できないことに驚いたほど、世の中に浸透した装備であり名称ではないだろうか。

運転支援機能を普及させるため、日産はミニバンのセレナにまずプロパイロットを装備する展開をした。ハイブリッド車としてのe-Powerは、ノートにまず採用されたあと、今日ではセレナにも車種追加されていることからしても、プロパイロットの一日も早いノートへの採用が、消費者のみならず販売面でも望まれるところだろう。

最新装備の充実度が販売動向を左右する

クルマの安心・安全や快適機能の採用は、早い循環で装備されることが望まれる時代となっている。最新の装備の充実度が、今後どの自動車メーカーにおいても販売動向を左右する要因になっていくのではないだろうか。

昨年9月にマイナーチェンジをして、それまでは3列シートの車種のみであったトヨタのシエンタが、2列シート車を追加するなどし、以後、じわじわと販売台数を増やしながら対前年同月比で100%超えの販売をし続け、今年8月にはプリウスさえ上回って同月1位の販売台数を獲得したのである。


マイナーチェンジしたプリウスの後ろ姿(写真:トヨタグローバルニュースルーム)

トヨタは、マークX(かつてのマーク供砲筌┘好謄マ、そしてプレミオ(かつてのコロナ)の整理を行うことで、車種を絞り込みはじめている。一方、新型カローラではスマートフォンとの接続をより容易にし、積極的に利用できる液晶画面とTVのセット化や、運転支援の機能の充実に力を注ぎはじめている。最新装備を充実すると販売動向が動くという1つの象徴的姿として、マイナーチェンジを受けた現行プリウスにみることができるのではないだろうか。

自動車メーカーの新車開発の仕方も、例えばマツダでは新機能を毎年のように各車種へ展開し、順次素早く充実させる取り組みをはじめている。このように、数年先の動向を見極めながら、自社開発する新技術や新規機能を、新車発売後も素早く搭載できるよう事前に準備をしておく新車設計が、これからより一層求められる。装備や機能の充実が、毎月の販売台数の順位を左右するようになっていくのだろう。