水も食べ物もない…極限状況を生き抜くための「3・3・3の法則」 砂漠でのサバイバル術

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太陽を反射して輝く砂が波のように連なる大地を、大きなラクダがゆっくりと優雅に歩いていく。古代から姿を変えずに広がる砂漠は、壮大なロマンを感じさせてくれる人気の旅先のひとつだ。でも万が一、砂漠でひとり迷子になってしまったら……!?

そんなまさかの状況に陥ったときは、科学の力で解決すべし。最低限を心得ているだけで、意外と役にたつかもしれない。世界中の美しく過酷な「砂漠」を特集したTRANSIT44号から、誌面の一部を紹介する。

イラスト:武田侑大

砂漠で生きるための「3・3・3」

気がついたら砂漠のど真ん中にひとり……。実際にそんな状況に陥る確率はごくごく低いとは思うが、最低限のサバイバル術は万が一の事態が起きたときにきっと役に立つはず。

砂漠に限らないが、サバイバルの世界には「3・3・3の法則」というものが存在する。これらは、生きるのに必要な基本的条件「呼吸・水分・食糧」の重要性を3つの時間を基に説いた、世界中の救助隊などで合言葉のように守られているものだ。

まず一つ目の3が意味するのは、基本中の基本、「空気がなければ“3分”しか生きられない」ということ。そして2つ目は、「水がなければ “3日”しか生きられない」。成人男性 は1日に最低1ℓ以上の水を必要とするが、砂漠では水分の摂取がとくに難しい。もし砂漠を水なしで長期間彷徨う可能性があるのなら、“3日”という期間を基準に自分の体の状態を見極めることが大切だ。ただし、発汗するとより多くの水分を欲するため、気温が高い砂漠の日中はできるだけ日陰でおとなしくして温存するのが得策だろう。

そして最後の3は、「食べ物がなければ“3週間”しか生きられない」ということ。たとえ水分が豊富にあっても、それだけでは体がもたない。とくにタンパク質や脂質は体を動かす エネルギーになるので、果物・植物や虫だけでなく、動物の肉を摂取するのがよい。ただし、毒をもつ動物もたくさんいるので、口にする前には注意すること。菌が多い皮膚を取りのぞいたり、火をしっかり通したりと対策は万全にしなければならない。

この法則には入っていないが、体温の保持も重要事項。35 度以下になると低体温症となり、26度以下になると意識を失って生命の危機に陥る。昼と夜の寒暖差が激しいことが多い 砂漠では、風を浴びないようにするなど注意が必要だ。

さて、ここからは具体的なサバイバル法について紹介したい。

#1 ここはどこ?方角がわからない

向かうべき方角がわからないときは、太陽に助けてもらおう。土に棒を立ててできた影の先端に印をつける。15分待ってから、動いてできた棒の影の先端にも印をつける。最初の印に左足、次の印に右足を置いてまっすぐ立つと、真正面が北! 棒がなければ、自分の影でトライしてみて。

#2 喉が渇いた。水が欲しい!

水分は植物の蒸散作用を利用して集めるべし。アカシアの木などの植物の枝にビニール袋をかぶせて、口を結んでひと晩待つと、蒸散しようとしていた水が袋に溜まる。または掘った穴に水分を含んだ植物や衣類と、水を溜める器を置き、穴全体をビニールで覆うと、同様に蒸発前の水を確保できる。

#3 暑すぎる…日陰で休みたい

直射日光が暑すぎてひと休みしたいときは、ストールなどの大きな布を活用しよう。大きな岩や砂山に布の一辺を固定し、反対側を地面に固定することで日陰が作れる。もし少し湿り気のある砂地があれば、頭上に張った布の下で足を砂に突っ込んで休むと、さらに体の水分蒸発を防ぐことができる。

#4 お腹が減った!食料を探さねば

砂漠で食べ物をハンティングするなら、アカシアなどトゲのある植物を長い棒に巻きつけて即席狩りツールを作ろう。狙うべきはほ乳類や爬虫類。爬虫類は口周りや皮膚が基本的にサルモネラ菌だらけで危険なので 、皮を剝ぎよく火を通すなどの処理が大事。昆虫なら、外骨格が香ばしいバッタがポピュラー !?

#5 火をつけたいけど燃料がない!

日中は暑くても夜になると気温が一気に下がることがある砂漠で、暖をとるのに欠かせないのは炎。炭や薪が手に入らない場所で火を維持するのに活用したいのが、動物のフンだ。とくにラクダのフンは草を多く含んでいるので、燃料として最適。もしラクダを連れていないなら歩き回って探してみて。

#6 ヘリだ!今こそ「助けて」の合図!

誰かに居場所を知らせるためには、火や煙、そして30 km以上先まで届く鏡の反射光を使うのが効果的。もし上空をヘリなどが通ったときに、次にすべきは自分の状態を伝えること。両手を上げると「引っ張り上げて」の意、ひらがなの「て」のようなポーズは「ここに着陸して」の意。

#7 ミネラル不足で体がしんどい…

体を動かすのには、水だけでなく塩が不可欠。砂漠の砂には塩分が含まれていることが多く、雨のあと地面の水が蒸発するときに塩が地表付近まであがってくる。水が完全に蒸発したあと、とくに水の流れができるワディ(涸れ川)の表面を掘ってみると、塩の結晶が見つかるかも。ただし、塩分摂りすぎには注意。

砂漠の民のサバイバル術、ウソ?ホント?

Q1. 道に迷わないのは東西南北を肌で感じるから?

A. ×
砂漠でも迷うことなく移動する砂漠の民。でも実は方角を感じとっているのではなく、小さな植物や砂丘の形などを記憶して目印にしているらしい。星をよめる人もいるが、一般的には突然別の砂漠に行くと迷ってしまう。

Q2. 水分補給には困っていない?

A. ○
アフリカの砂漠地帯ではスイカが大事な水分源。遊牧民はスイカがどこに自生するかを知り尽くしていて、なくなるとスイカが穫れる別のエリアに移動する。また、植物の生え方を見て水脈のありかを言い当てられる人もいる。

Q3. 砂漠の生活でも一番大切なのはお金?

A. ×
毛で衣服を作ったり、肉を食べたり搾乳したり、皮を住居の材料にしたりと、家畜が砂漠の民にとっての生命線。ときにお金のかわりになることも。もし遭難したら、家畜の胃液を飲んで水分を摂取するなど、一切無駄にはしない。

Q4. 自分が所有するラクダの行動が読める?

A. ○
砂漠を移動するキャラバンは、夜間はラクダを自由にさせる。その間ラクダは草を食べるために離れてしまうが、砂漠の民は長年の勘や土地の事情で居場所がだいたいわかるらしい。翌朝はラクダを連れ戻すところから始まる。

※本記事は「TRANSIT44 砂漠の惑星を旅しよう」を再編集したものです。