大改革の東京モーターショー、注目すべき「これだけの理由」 脱・モーターショーは成功するか

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来月初めの3連休に向けて、秋の行楽シーズンが本格化する。だが、消費増税の直後で財布の紐を締めたり、忙しくて長期休暇がとれず、これといったプランはないという読者は少なくないだろう。そんな読者にお奨めのイベントがある。「OPEN FUTURE」をテーマに掲げ、モーターショーからモビリティ・ショーへの脱皮を目指す「東京モーターショー2019」だ。

画像は公式サイトより

東京モーターショー2019は、近未来の日本の社会と交通インフラの体験学習になるだけでなく、最新のスポーツカーやオフロードカー、クルマ型・立ち乗り・座り乗り・車いす型の小型モビリティの試乗や、e-Motorsportsの世界選手権、子供の職業体験、など実に盛りだくさんの展示やプログラムが売り物だ。

しかも今回は高校生までが入場無料となったほか、大人も入場無料の「OPEN ROAD」を設置、選りすぐりのキッチンカーが集まる「グルメキングダム」も登場する。まず、食べ歩きをして、会場の様子を伺い、面白そうだと思ったらチケットを購入して有料エリアを観るという楽しみ方も可能だ。また、小さな子供も楽しめる趣向になっている。

今日は世界の自動車業界を取り巻く環境と、その中で東京モーターショー2019が注目される理由、そして、その楽しみ方をお届けしよう。

モビリティ・ショーへの脱皮

まずは、2年に1度開かれ、今回で46回目を数える東京モーターショーがなぜ今、モビリティ・ショーへの脱皮を目指しているのか考えてみたい。

モーターショーの世界ではここ数年、2つの大きな変化が起きている。

その第一は、世界的な国際モーターショーの退潮傾向だ。かつては、ドイツ、アメリカ、日本、スイス、フランスのモーターショーが「世界5大モーターショー」と呼ばれ、各国の自動車メーカーが競って参加、ここぞとばかり新型モデルを発表したものだ。だが、最近は自動車市場の成長ペースが鈍り、どこのモーターショーも海外メーカーの参加が減って小規模なローカルショーの色彩が濃くなっている。

例外は、4月に、筆者が現地取材して、本コラムで取り上げた中国の上海モーターショーと北京モーターショーだ。その背景には、中国が世界最大の自動車市場に成長したことがある。

今年4月に開催された上海モーターショーの様子/Photo by gettyimages

そうした退潮傾向は、先月開催されたドイツのフランクフルト・モーターショーでも鮮明だった。日本からはトヨタ自動車が出展しなかったほか、これまでメインブースの入り口など“一等地”に広大な展示をしていたドイツ3大メーカーのひとつBMWが、隅っこでの慎ましい展示にとどめのだ。また、今年1月にデトロイトで開催された北米国際自動車ショーでは、BMWだけでなく、メルセデス・ベンツも出展そのものを中止した。

そうした状況をばねに、日本では、モーターショーをもっと面白いものに変えようという機運が盛り上がっている。

第2は、自動車産業自体が100年に1度と言われる大変革に直面、「CASE」(つながる車、自動運転、シェアリング、電動化の頭文字)などの革新を迫られていることだ。その変革を考えれば、モーターショーがモビリティ・ショーを指向するのは、自然な流れと言える。

主催者の日本自動車工業会会長として9月26日に都内で記者会見した豊田章男・トヨタ自動車社長は、東京モーターショーに言及し、「(これまでのやり方だと)じり貧になる。車に限らずワクワクする未来の生活を見せたい」と語った。

取材したところ、主催者は、今回、入場者数100万人を目指しているという。これは、前回(2017年)の77万1200人を上回り、リーマンショック前の2007年(142万5800人)以来の水準になる。

モビリティ・ショー化の象徴が、異業種の参加企業が大きく増えたことだ。自工会の求めに応じて、今回は、NTTやNTTドコモ、パナソニックなど多くの企業や団体が参加する。結果として、世界8ヵ国から前回の153を上回る187の企業や団体が参加して、次世代携帯電話5Gの技術を使ったモビリティや最新のIT技術も披露する。こうしたIT企業との連携で、観光やスポーツなども含む、4〜5年先の生活を体感できる空間が展示される。

多彩な子供向けプログラム

東京モーターショー2019の一般公開期間は、10月25日から11月4日までの11日間となる。

スペースは前回より大きく広がり、メイン会場が東京ビッグサイトの「青海エリア」と「有明エリア」の2カ所に分かれた。これは東京オリンピック・パラリンピックの開催準備の関係で、前回の会場だった「有明エリア」で使えるスペースが小さくなってしまったことを逆手にとった作戦で、2ヵ所を繋ぐ1.5kmのエリアを通路でつなぎ、この通路を第3の会場「OPEN ROAD」にした。

「OPEN ROAD」の大きなゲートをくぐると、そこは入場無料のモビリティの巨大テーマパークだ。電動キックボードや次世代小型モビリティなど未来のモビリティや、子供向けのカート乗り場もある。ひとり乗りの超小型モビリティに関しては、コンパクトで環境性能にも優れた各社の超小型モビリティが一堂に会する。モビリティに乗って、会場内を行き来することができるのだ。乗り物にはモーターショーのチケットが必要だが、ひと味違った移動の楽しさを味わえそうだ。

展示の中心地である青海エリアと有明エリアをさっと移動したい人には、無料シャトルバスの運行もある。面白そうだと思えば、その場でチケットを購入して、有料エリアを見るのもいいだろう。従来通り、小・中学生は入場無料で、お父さんやお母さんの財布に優しい。また、今回は高校生も無料なので、友達同士で、近未来を体験するのもいいだろう。

「OPEN ROAD」と「有明エリア」の間には、「DRIVE PARK」が設けられる。ここは、以前からのモーターショー好きに人気の高い試乗体験が中心で、ヽ謄瓠璽ーの最新の乗用車の公道での試乗、二輪メーカーの一押し二輪車の特設コースでの試乗、F胆潺魁璽垢任離フロード車両への同乗試乗――のほか、スポーツカーやスーパーカーの車両展示が行われる。変わったところでは、ドローンレースも見逃せないプログラムだ。

次に、中心会場のひとつである「青海エリア」の「青海展示場」を紹介しよう。ここは、今回初めて使われる展示場で、「Aホール」に、子供達が好きなトラック・バスの4社(いすゞ自動車、三菱ふそうトラック・バス、UDトラックス、日野自動車)が結集する。

加えて、子供達から絶大な人気を誇るタカラトミーの協賛で、大型のジオラマの展示やトミカ、カーズトミカ、ディズニーモータース、ドリームトミカなどの販売、リカちゃん、トランスフォーマーのコーナーも展開予定だ。
   
もう一つ、子供向けの売りが、「アウト オブ キッザニア イン 東京モーターショー2019」だ。人気の子供向け職業体験型施設キッザニアと展示各社がコラボレーションして、東京モーターショーの「青梅展示場」内に「こども達が働く街」を出展する。対象は小学生となっており、レーサーやメカニック、カーデザイナー、月面探査車のプログラミング、遠隔操作オペレーターなど様々な職業を体験できるという。

宇宙マニア、ゲームファンも楽しめる

「青海展示場」の「Bホール」はモーターショーらしい展示で、トヨタ自動車、SUBARU(スバル)、ダイハツ工業が出展する。

そして、青海エリアの海側に位置するのが、「FUTURE EXPO MEGA WEB」会場だ。ここは、今回のモーターショーがモビリティ・ショーに舵を切ったことの象徴のような会場だ。NTT、パナソニック、NEC、富士通など約60の企業・団体の最新技術が集結し、90超のコンテンツで近未来を体験できるようになっている。

6つに分かれた会場では、まずバーチャルキャラクターが出迎える「入国」セクションで未来の日本に入国。「移動」セクションで、空飛ぶクルマや完全自動運転車など最新モビリティを使った移動を体験。電気自動車を軸にしたモビリティと住空間が融合したライフスタイルを体感する「都市」セクションを経由し、「スポーツ」セクションに辿り着く。すると、ネットワークを介して、リアルタイムで競技空間を丸ごと配信するスポーツ観戦システムNTTのKirari! や、富士通の3Dセンシング技術を用いた体操の採点支援システムを体験できるという。

さらに、「地方観光」セクションに進むと、NECの顔認証決済店舗や、JR東日本の多言語対応AI案内ロボットの観光案内が出迎えてくれる。最後の「未来のエネルギー」セクションは、水素エネルギーや宇宙技術を紹介するエリアだ。地球温暖化の原因となるCO2を排出しないホンダの水素燃料自動車CLARITYや、燃料電池車技術を用いてJAXA(宇宙航空研究開発機構)とトヨタが共同開発中の月面探査車「有人与圧ローバ」などが展示される予定で、宇宙マニアは必見だ。

「FUTURE EXPO」会場は、もう一つ大きな目玉がある。「e-Motorsports STAGE」だ。来場者は、PlayStation4用ソフトウェア『グランツーリスモSPORT』を使ったリアルとゲームが融合した走りを体験できる。リアルイベントの「FIA グランツーリスモ チャンピオンシップ 2019シリーズ ワールドツアー第5戦」も開催予定だ。このシリーズは、オンラインレースの世界選手権だ。

Photo by gettyimages

国内の各エリアから選び抜かれたトップドライバーによるe-Motorsports「都道府県対抗U18全日本選手権」や、出展メーカーのエキシビジョンマッチ、ワンメイクレース「GR Supra GT CUP 決勝大会」も実施の予定という。それぞれのレースの開催予定は、モーターショーのホームページに掲載されているので、見たい人はチェックしてほしい。

最後になったが、やはりクルマ好きは、「有明エリア」を見逃せない。今回は、西展示棟1階にホンダ(本田技研工業)、スズキ、カワサキ、ヤマハ発動機、ルノー・ジャポン、アルピーヌ、日産自動車、三菱自動車工業、南展示棟1階にメルセデス・ベンツ日本、スマート、マツダ、レクサスが、西展示棟4階と南展示棟4階には部品メーカーが出展する。

モビリティの波は、自動車部品メーカーが集まる西展示棟4階などにも押し寄せておりこのセクションに出展するIOT企業も増えている。

例えば、NTTドコモは、AIやモバイル通信の技術を組み合わせて、運転中のドライバーに代わってレストランやジムの予約などをする「AIインフォテイメント・サービス」の売り込みを狙うという。「行楽の秋」の一日を、近未来のモビリティ体験で過ごしてみてはどうだろうか。