関西電力「金品受領事件」本当の「問題のありか」について話そう

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「個人の責任」なのか

筆者が出演している朝日放送の情報バラエティ番組「正義のミカタ」は、東京では放送されないが、関西圏ではかなりの人気番組だ。毎週土曜日の9時30分から11時までの生放送である。収録でないので緊張感がありながら、MCを東野幸治さんが担当しているので、随所に笑いもある。

先週の5日、筆者は、今話題になっている関西電力役員の金品受領事件を解説した。なぜ筆者なのかと怪訝に思う人がいるかもしれないが、筆者には役所に勤めていた頃に不祥事対応の経験があるので、この種の問題にもそれなりに対応できる。

今週はこの点について、関電の件で筆者が考えていたことと、放送後の楽屋での面白いやりとりを紹介しよう。

もっとも、この日の番組は海外ロケ案件があったため、そちらが優先され、関電事件についてはどうしても時間が足りなかった。そうした制約の中で、既に公表されている昨年9月の関電による報告書(https://www.kepco.co.jp/corporate/pr/2019/pdf/1002_1j_01.pdf)をベースに事実関係を整理し、「関電と地元有力者の長年のヤミ、この際全部ウミを吐き出せ」と解説した。

その中で、既に週刊誌で報じられているように、問題になっている福井県高浜町の元助役とその背景についてどこまで言及するか迷ったが、一緒に出演したほんこんさんが言及したので、筆者からはコメントしなかった。

そもそも筆者としては、本件における関電の対応は酷いと感じていた。今回の関電の対応は、すべて個人に責任を帰する形になっている。その結果、受け取ったキックバックを「一時保管していた」という間抜けな言い訳が出てきた。

これは、税務調査でも否定されている話だ。もし「一時保管」という言い訳ができれば、所得ではないため、そもそも税務調査で問題にならないはずだ。今回の件では、一連の行為の責任をすべて幹部個人に帰している。実際には、それこそが問題の本質ではないか。

筆者はこのような問題意識を持っているので、番組では関電取締役が受けたキックバックについて、かつて役所にあった「報告返品制度」に類する考え方が関電になかったことを指摘した。

これは、贈答品等について受け取りを拒否できないような場合や、知らない間に自宅に届けられたなどの場合、それを役所に報告すれば、役所のほうから丁寧に返却されるという制度だ。1999年、国家公務員倫理法6条(贈与等の報告)に引き継がれた。

役所と関係の深い関電が、こうした役所の制度を知らなかったはずがない。にもかかわらず、組織的に対応できなった関電の問題は大きい、と筆者は言いたかったわけだ。

ともあれ、関電トップの辞任は時間の問題であろう。関係者である元助役が死亡しているので、刑事事件での展開は難しい。しかし、「会社の問題として対応しない」という判断ミスを犯した現経営陣には経営を任せておけないという観点で、大阪市が株主としてどのような判断を下すのかがポイントになってくるだろう。

さて、消費増税が実施されたが…

いずれにしても、先週の「正義のミカタ」はMCの東野さんによる鋭い突っ込みで進行していったが、その中でも、ゲストで出演した俳優の田山涼成さんを「もっと怒れ」と煽りつつ、「池上彰さんの番組でもそのくらい言ってくださいよ」とイジっていたのには、隣に座る解説者としても笑ってしまった。

これについては、経緯を少し説明しないといけない。筆者は、一週間前の9月28日の同番組で、消費増税の馬鹿馬鹿しさについて解説した。内容は、本コラムで書いてきたこと(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/67075、 https://gendai.ismedia.jp/articles/-/67382など)とほぼ同じである。そのときも田山さんはゲストだった。

同じ9月28日、テレビ朝日「池上彰のニュースそうだったのか!!」で、池上彰氏が消費税について解説していた。ただし、その内容は「いまは国の財政が危ないので、消費増税するのだ」という、お決まりの「財務省のプロパガンダ」をなぞっているだけのように見えた。

いつでも「増税派」との討論に応じたい

池上氏は、番組で「とりあえずは大丈夫でも、このまま借金がひたすら増え続ければ、いずれ日本は財政破綻する危険性が高まる」と話していた。しかし、借金だけをみるのは財務として不十分であり、資産を考慮すると、日本の財政は決して危ういわけではない。

池上氏はご存知ないのかもしれないが、日本が財政破綻する確率は5年以内に1%程度しかなく、先進国の中でも最低水準だ。このような場合、一般的に確率は零%という(ゼロではない)。池上氏の解説は、いわば降水確率零%なのに台風が来るかもしれない、と言っているようなものだ。

さらに池上氏は、その解説の中で「政府と日本銀行はまったく別のもの」とも言った。

形式的には、日銀は政府と別法人であるが、理論上は、政府の連結子会社だ。財務を見る時には、グループ企業は連結して見るので、池上氏の説明は不正確だ。政府と中央銀行を連結させて考えるのは、経済学に「統合政府」という考え方もあるように、当然のことだ。

筆者から見ると、池上氏の説明は間違っているとしか言いようがない。その上、番組には専門家が出演しておらず、池上氏が田山さんらコメンテーターに語りかけているだけだ。コメンテーターに専門知識があるはずもなく、同意するだけの役割になっている。もし池上氏が事前に誰かに取材していたとしたら、その相手は財務省関係者としか筆者には考えられない。

こうした経緯があったので、筆者は5日の番組終了後、化粧落としの控え室で田山さんに「池上さんの番組に出ていたでしょう。あの番組には間違いがありましたね。日本の財政は破綻しませんし、日銀は政府子会社ですよ」と言った。田山さんは驚いた様子だった。

こうしたちょっとした会話ができるから、筆者はテレビ出演を引き受けている。いずれにしても筆者は、今の状態で財政危機を強調し増税を正当化するのは不見識と考えているし、日本の財政が危機なのかどうかについて、破綻論者の家元ともいえる財務省との公開討論にいつでも応じる用意がある。しかし、財務省は逃げ回るばかりで決して応じようとしない。

池上氏も番組に筆者を呼んでくれれば、国民にとって有意義な議論ができるはずだ。