玄海原発再稼働のウラに(右は菅原経産相)/(C)共同通信社

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 関西電力の原発マネー還流事件は、改めて原子力行政のいかがわしさを思い知ることになった。電力会社、地元有力者、工事業者の腐敗のトライアングルは、関電だけの問題ではあり得ない。原発あるところに、“第2の森山栄治”(福井県高浜町元助役=今年3月死去)がいるはずだ。ところが、経産省は電力各社のゆる〜い調査でフタをしようとしている。

関電発注工事の情報は元助役への提供突出 花見や誕生会も

 経産省は9月30日付で、関電を除く電力会社9社と、電源開発、日本原子力発電、日本原燃の計12社にコンプライアンスの徹底を通達した。各社は、自主的に関電と類似の事例がないか調査していたが、4日の会見で菅原一秀経産相は「すでに12社のうち8社からは、このような事案はないとの回答があった」と言ってのけた。わずか数日の自主調査で“シロ”認定は早すぎる。

 どういう調査で「問題がない」と言い切れるのか。各社の調査実態を検証するのかと問うと、経産省は「今のところ考えていない」(資源エネルギー庁の電力・ガス事業部政策課)と答えた。まるでアリバイ調査だ。

「原子力資料情報室」事務局長の松久保肇氏が言う。

「経産省は関電だけの問題で片付けようとしています。地元有力者、工事業者、自治体、電力会社の癒着は、原発があるところには多かれ少なかれ存在します。当事者である電力会社の数日の調査で終わらせてはいけません」

■原発ビジネスは「持ちつ持たれつ」で成り立つ

 癒着はこれまでにも表面化している。例えば、関電と並んで原発再稼働に熱心な九州電力。玄海原発がある佐賀県玄海町の岸本英雄前町長は、就任した2006年8月以降の4年8カ月で、実弟が社長を務める建設会社「岸本組」に九電発注の原発関連工事を総額約17億円受注させていた。

 しかも、町長自らも株式の配当金など約1000万円を得ていた。九電に再稼働の了承可否を与える立場だった岸本氏への原発マネー還流は、「隠れ献金」との指摘もあった。しかし、法には触れることなく、岸本町長時代の18年3月、玄海原発は再稼働に至った。

 九電は、関電問題が報じられ、類似案件の調査はしないとしていたが、きのう、一転して「社内調査を始める」と発表。言い訳を考えているのかもしれない。

 福島第1原発がある福島県双葉町でも地元有力者の影があった。

 1963〜85年に町長を務めた田中清太郎氏は、原発誘致に熱心に取り組み、成功(71年稼働開始)。並行して、町長自ら実質オーナーの「田中建設」が原発案件工事を次々に受注。双葉郡随一の建設会社を築き上げたのだ。

 森山元助役とソックリじゃないか。

「森山さんのような強烈なキャラクターは特異かもしれませんが、誘致や再稼働をめぐって、電力会社は長年、地元の有力者を利用して原発を推進する。一方、地元の有力者も電力会社から最大限の利益を得ようとする。持ちつ持たれつの関係で原発ビジネスは成り立っています。関電事件をきっかけに、全国の原発をめぐるウミをすべて出し切るべきです」(松久保肇氏)

 経産省や電力会社に期待しても無駄。野党とメディアは全ての原発周辺にメスを入れられるか。