過熱する通信料広告
 通信料金プランの広告表示にも課題がある。NTTドコモが6月に始めた通信料金プラン「ギガホ」の広告に当初、「ネット使い放題!」の文言があった。実際はデータ通信量が月30ギガバイト(ギガは10億)を超えた場合、通信速度が制限されるため、消費者庁が5月に行政指導を行い、広告表示を是正させた。

 だが、その後も「放題」表示の広告が相次ぐ。KDDIの「auデータMAXプラン」の広告は「データ容量上限なし」との文言があるが、動画ストリーミング利用時や混雑時間帯は速度制限があり、テザリングのデータ容量も上限がある。

 ソフトバンクの「ウルトラギガモンスター+」の広告にも「動画SNS放題」との文言があるが、対象サービス内の一部機能はデータ通信量を消費する。総務省の有識者会議でも「いわゆる『放題』表示は、消費者の受け止め方を踏まえ、適正化に取り組む必要がある」との見解を示している。

 消費者庁は、プランの適用条件が広告に記載されていたとしても例えば文字が小さい場合、配置箇所が強調された代金と離れている場合など「消費者がその内容を正しく理解できない場合は不当表示として問題となる恐れがある」と指摘する。

 広告表示の適正化は販売代理店での展示がきちんと行われているかチェックする必要がある。だが、ドコモは「四半期ごとに支社・支店がチェック」、KDDIは「年2回、店頭写真の報告」、ソフトバンクは「四半期ごとの店頭写真の報告、違反報告フォームの設置」と対応策がまちまち。健全な競争環境の実現には料金プランの規制だけではなく、消費者が正しく認識できる広告表示の在り方も不可欠となる。

(取材・水嶋真人)