9月の2試合は同じスターティングメンバーで臨んだ

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 日本代表の森保一監督は3日、10月のカタールW杯アジア2次予選に臨むメンバー23人を発表した。前回からの変更点はエースFW大迫勇也(ブレーメン)が離脱したFW2人のみ。その他のポジションはまったく同じ顔ぶれが並ぶ無風の選考で、現状のコアメンバーが固まりつつあることが鮮明となった。

 森保監督はこれまで、大枠の選考理由を問われた際に「ベスト」という表現を貫いてきた。W杯予選の2、3戦目に臨むメンバーを発表したこの日も「いま選んだ選手がベスト」と強調。異論については「そこは自由に主張していただければ」と認めつつも、メンバー選考への迷いは見せなかった。

 そうして選んだ23人のうち、21人はW杯予選初戦に挑んだ9月と同じ選手たちだ。招集外の大迫は負傷による戦線離脱中のため、新たに落選したのは実質的にFW鈴木武蔵(札幌)のみ。またそこに加わったのも、かつて招集してきたFW浅野拓磨(パルチザン)とFW鎌田大地(フランクフルト)で、GK、DF、MFは全く同じ顔ぶれとなった。

 対戦相手はFIFAランキング100位以下のモンゴルとタジキスタン。日本との力関係を見れば新たな戦力をテストする機会とも考えられるが、指揮官はそうした選択をしなかった。会見の中では「ベストということはメンバー固定ではなく、活動の中で変わるもの」という説明もあったが、現状の序列はある種固まりつつあると言えるだろう。

 その理由の一つとして挙げられたのは、現状のメンバーで「いろんな戦い方をできるようにしていきたい」という狙いだ。「いわゆるFIFAランキングが下のチームであっても、アジアで確実に勝つことが世界で勝ち抜くことにつながる」という信念のもと、現状のメンバー構成のクオリティーを上げていくことで、世界で戦える集団を作ろうとしている。

 9月のミャンマー戦でも「引いた相手にどうやって崩していくか」というテーマが立ちはだかったが、「相手が強固な粘りを見せている時にはしっかり揺さぶりながら相手を崩し、コンビネーションなのか、サイドなのか、DFラインを押し上げて数的優位に立つのか、いろんな戦い方がある中で選手たちが賢く戦ってくれた」と手応えを得たようだ。

 また、そのようなフルメンバー構成には欧州組のコンディション問題もつきまとうが、「リスクがあることは今回に限らない」ときっぱり。「欧州組が日本に帰ってプレーする時には長距離移動、時差調整、気候の違い等々がある中、選手たちは言い訳をするわけでもなく、ベストの状態をしっかり作ってプレーしてくれている」と問題視しなかった。

 むしろそれどころか、過去最多20人を占めた欧州組の長距離移動もここで積み重ねておくべき一つの経験値として考えられているようだ。会見の中では、森保監督が次のように力説する一幕があった。

「選手たちはいつも覚悟を持って日本に戻ってきて、日本代表に誇りを持って戦ってくれているということを理解してもらいたい。欧州組の選手たちは毎回ヨーロッパから離れて、クラブにおいては日本に戻ることで体調を崩して帰ってくるくらいに考えられている中で、自分のポジションを失うことも考えながらも日本代表として覚悟を持って戦ってくれている」

「実際、毎回の代表活動の後には所属チームに帰って、もちろんスムーズに試合に出られる選手もいるが、多くの選手は(活動直後の)1試合はスタメンではなく途中出場とか、あるいはベンチにいたりとか。そういった難しい状況のなかで存在感を示して、ポジションを奪い取るということをいつもしてくれている。そこをご理解していただければ」

「そういう選手たちなので、まずは今回のタイトな日程に関してもベストなものをしっかり出してくれると思う。またこのタフな環境でやるのは日本代表で戦うにあたって当たり前だという覚悟を持ってやってくれているので心配はしていない。経験の浅い選手は、日本代表で長くキャリアを積んでいる海外組の選手がどれだけ厳しい状況で戦ってきたかを身をもって経験してもらって、また成長につなげてもらえればと思う」。

 もっとも、今回のメンバーはあくまでも現状の「ベスト」。国内組が史上最少3人になったことで“海外組優遇”の捉え方も予想される中、指揮官は「今回選ばなかったから国内組がダメだとは思っていなくて、われわれは日本代表で活躍できるだろうという多くの選手はリサーチしているし、今回は招集がなくても11月以降に向けて招集の対象としてリサーチしていきたいと考えている」と強調した。

(取材・文 竹内達也)