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○丸の内をキャッシュレスの街に

三菱地所プロパティマネジメントは、オフィスや商業施設といった複合ビルの運営管理をはじめ、丸の内エリアを中心としたエリアマネジメント等も手がける企業だ。受託ビルは東京都内に限らず、全国の大都市にも存在する。

そんな三菱地所プロパティマネジメントが、三菱地所と共に国内外からの来街者およびエリア就業者の多様なニーズに対応するため、丸の内エリア一帯のキャッシュレス化を加速させると発表したのは、2018年11月のことだ。

丸の内エリアには、丸ビルや新丸ビルをはじめとする東京駅丸の内側のビル群を中心に、有楽町駅や大手町駅へと広がるエリアに存在するオフィスと商業の複合ビルの多くが三菱地所プロパティマネジメントの受託ビルだ。この中で、キャッシュレス化戦略の第一弾となったのが、2018年11月オープンの「丸の内二重橋ビル」の商業ゾーンである「二重橋スクエア」だった。

国の方針として、キャッシュレス強化が掲げられているが、既に丸の内エリアはクレジットなどの取り扱い比率が高く、対応が急務という状況ではなかったが、「丸の内をキャッシュレスの街に」という目標を掲げ、キャッシュレスを加速させる方針へと動き出したのが2018年春のことだったという。

既に多彩なペイメントサービスが存在する中、利用客の利便性向上とともに、店舗スタッフの負荷を増やしすぎない事を意識しながら選定作業は進められた。

大手コンビニエンスストアなど、既にキャッシュレスサービスの導入が始まっていたほか、店舗からもQRコード決済の検討状況について問い合わせが出始めているところに、PayPayがキャンペーンを行ったことで、キャッシュレスに対する感度も上がっているタイミングだったという。

二重橋スクエアがオープンする時に導入されたQRコード決済はWeChatPayとAlipayの2種類だ。そのほか、交通系をはじめとする非接触決済にも対応し、店舗にはそれらを利用するための端末としてiPad、NFC対応のリーダライタを配布した。また、希望店舗にはテーブル会計を可能にする無線型の小型端末が用意された。

当初は2019年春のQRコード決済導入を予定されていたが、折角ならば最新ビルの二重橋OPENに間に合わせようということになり、急ピッチで準備を進め、入居予定の店舗には、オープン直前に慌ただしく新システムの導入について説明するという段取りとなってしまったそうだ。

○端末の選定から加盟店契約まで担当

丸の内エリアでの展開ビル規模は約20棟のビル、約600店舗となっている。二重橋スクエア以外は2019年春から順次導入した。

SIMを用いた無線型端末におけるQRコード決済導入については正直不安もあったが、現在までのところ、機器の不具合や通信環境が不安定などという連絡もないそうだ。

当初はWeChatPayとAlipayという訪日中国人をメインターゲットとした決済の導入からスタートしたが、2019年春には国内向けサービスであるLINEPayとPayPayも追加された。4種のQRコードはスキャンと同時に自動判別される仕組みになっており、店舗スタッフがペイメントの種類を都度選択する必要はない。

決済端末の操作はシンプルでスピーディーであり、操作に慣れれば現金の授受よりも速いという。

これまでの取り組みによって、キャッシュレス決済の普及に向けて重要なことは「使えるお店であるという認知」ということを学んだそうだ。利用者もキャシュレス決済が使えるなら使ってみようという様子があり、LINEPayやPayPayがキャンペーンを実施すると明らかな効果があるという。昨今、スマートフォンの利用者は多く、あとは店舗や商業施設で利用可能な機会をいかに増やすかということになる。

4種のQRコード決済はもちろん、交通系ICカードやNFC決済、クレジットカード決済といった決済全般について、加盟店契約を三菱地所プロパティマネジメントが一括で管理している。

キャッシュレス普及に向けた準備はだいぶ整備されてきたので、利用率向上に向けては、認知向上と店舗オペレーションの慣れという心理面での定着がカギを握っていそうだ。

○キャッシュレス化の定着に向けて

QRコード決済の利用傾向を見ると、物販より飲食が多いようだ。丸の内エリアは就業者が多い街なので、財布を持たずにお弁当購入や、ランチに出かけられる気軽さが受け入れられているのかもしれない。

そうした中、同社では、ペイメントサービス会社で行う、各種キャンペーン開催時の効果は明らかであり、今後も各社の販促力を借りて、認知アップや利用者増につなげたいと考えているそうだ。

丸の内エリアは高単価の店舗が多い印象を持たれるかもしれないが、QRコード決済を利用しやすい日常使いの店舗もたくさんあり、今後の利用拡大が期待できるという。

NFC決済についても、ラグビーが盛んなオーストラリアなど欧米では普及しているので、ラグビーワールドカップを観戦するために来日した方に需要があると考えられる。

ただし、同社では「取り扱うペイの種類を増やせば便利になるというものではない」ととらえている。顧客のニーズや利便性アップにはもちろん、店舗にとっても会計時間の短縮による回転率アップなどのメリットを感じてもらえるよう、よりよい端末導入やサービスの提供を今後も検討していくとしている。

丸の内、有楽町エリアへの展開が完了し、横浜のランドマークプラザでも運用が開始されるなど、キャッシュレス化への基盤が整った今、開催中のラグビーワールドカップに加え、2020年の東京五輪に向けて、店舗でのオペレーションの習熟と告知強化を図っていく構えだ。