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◆佐藤治彦の[エコノスコープ]令和経済透視鏡第3回

◆私が、台風通過3日後まで千葉の被害を知らなかった理由

 気象庁が事前に「接近とともに世界が変わる」と警告した台風15号は令和元年2019年、9月8日深夜に関東地方に接近、上陸した。

 当日、私は自宅のベランダから窓越しに外を見て、その凄まじさに恐怖におののいた。翌朝になると、表の大木が何本も折れ道は散乱し、閉め忘れた小窓から吹き込んだ風でバスルームは驚くほど汚れていた。それでも、260万人が住む千葉県に比べれば大したことはなかった。停電や断水が数週間にもわたって続き多くの人が被災したからだ。

 その惨状を知ったのは3日後だった。

 台風が過ぎ去った直後のテレビや新聞のメディアは、人気の小泉進次郎議員が大臣に登用されたと組閣のニュース一色で、ほとんど台風15号の被害については報道しなかった。だから、私が千葉県の被害について知ったのはメディアが報道を伝え始めた3日も経った後だったのだ。

 いや、正確にいうと、SNSでは被害直後から多くの人が大変なことになっていると情報を発信していた。それを知りつつもSNSのそれも匿名個人の流す情報は、既存メディアの情報と比べるとその信頼性に差がある。フェイクニュースも多いからだ。

 だから、ツイッターやフェイスブックの情報が真実ならば、メディアが報道しないわけがない、と思ってしまった。しかし、その認識は間違っていた。

 千葉県では最大で93万世帯が停電した。県内260万世帯だから35%の家庭から電気が消えたのだ。5日経っても18万世帯で停電。多くの世帯で停電・断水で困っているときに、安倍内閣は組閣をしたのだ。選挙で常に洗礼を受ける宿命の民主主義国家の政治家なら、組閣を延期し被害者救援に乗り出すのが当たり前だと思うのだが、それをしなかった。特に千葉県は7月の参議院選挙で、その選挙区の定数3人のうち2つを自民党に議席を与えた自民党王国である。本当に驚いた。

 東京電力が千葉県内の停電戸数がゼロになったと発表したのは9月24日だった。

◆たった1日の花見に5700万円使う安倍政権が千葉被害には13億円

 私は覚えている。たった20年前、1999年(平成11年)の10月。同じ自民党の内閣であった小渕恵三首相は、組閣を4日間延期した。それは、前日に発生した東海村JCO臨界事故への対応のためだった。

 その理由は良くわからないのだが、安倍政権はその後も東京電力など民間業者に復旧を急ぐようにと指示は出したが、自ら風水害被害に対して対策もその後の復旧の支援も消極的に見えた。

 なぜなら、台風15号で被害を受けた千葉県に対して当初つけた予算は予備費からのたった13億円だったからだ。政府主催の花見の会はたった1日だけのお楽しみの会だが、それに使われた税金は5700万円。バランスがあまりにも良くないように見える。

 その後、まるで罪滅ぼしのように新聞は連日一面トップで千葉の惨状を伝え、テレビもワイドショーから報道番組まで千葉県の被災地を連日報道した。ネットで千葉は棄民されたと揶揄する人も大勢出て来た。こうして政府や千葉県の対応に対して批判が噴出した後、台風が過ぎ去った2週間後になって、屋根が飛ばされた世帯など、本来は公的援助が出ない一部損壊の住宅にも支援の手を差し伸べると発表がされた。

◆駆け込み買いしたくても、そのカネがない

 10月1日に消費税が10パーセントになり、一世帯あたり年間3万円ほどの増税になる。増税になるのだから駆け込み需要が増えて経済は一時的にも加熱するかと思いきや、そういった気配はほとんどない。多くの人が言う。

「駆け込み買いしたくても、そのカネがない」――。