運動会をする企業の従業員が新しい種目を作ると参加感が増す。ボッシュ(東京都渋谷区)では入社式に運動会が開かれ、新入社員が新種目を考える。2019年のテーマは「ダイバーシティー」だった。視覚障がいの要素を加えた「先頭目隠しムカデ競走」、下半身の障がい要素を取り入れた「座り玉入れ」などが実施された。

 運動会屋の米司社長は「自分でどうしたら面白い種目になるか考える。そうすると思いついた種目は絶対にやりたくなる」と話す。

 運動会の新種目開発にテクノロジーも加えている。ハッカソン(技術開発コンテスト)のようにデジタル機器やソフト開発を加えてまったく新しいスポーツを作ってしまう例もある。ハッカソン型運動会を採用したIT会社は、最終的に廃校を借りて迷路の中でサバイバルゲームをするような新競技を実施した。

 アイデア出しから開発、実装して遊ぶまでが一つのレクリエーションだ。企画や開発などの得意技を生かしたり、普段と違う仕事にチャレンジしたりと一人ひとりの可能性を広げる絶好の機会になる。

 タカラッシュも宝探しとデジタルの融合を進める。常設の宝探しアトラクションでは、仮想現実(VR)ゲームと宝探しを組み合わせる。謎を解きながら武器や防具などのアイテムを集めて、VRモンスターを攻略する。齊藤社長は「リアルな謎解きとデジタルを融合させるニーズは大きい」という。スマートフォンに拡張現実(AR)機能が追加され、新しいスポーツや謎解きを開発しやすい環境は整っている。

 従業員の労をねぎらう楽しいイベント運営から始まり、組織活性化や新種目の開発に領域が広がっている。楽しさを追求するとその場限りになりやすく、教育要素を盛り込みすぎると途端にしらけてしまう。この両立が難しかったが、企画段階から参加者を巻き込んで自分事にしてしまえばその壁を突破できる。慰労の枠を超えて、レクリエーションを再発明する企業が今後増えそうだ。