いかに車内へ動物臭を残さないかがポイントに

 わが家ではもう何十年もの間、犬たちと暮らし、毎日のようにクルマに乗せ、月に何度かは長距離ドライブをしている。そこで気になるのが、車内のペット臭。自分のクルマならともかく、仕事柄、自動車メーカーからお借りした新車に愛犬を乗せてロケ先に向かうこともしばしばあり、返却時、ペットを乗せていた痕跡をかんぺきに消さなければならないのだ。

 愛犬家仲間から「車内のにおい、なんとかならないものか?」と質問されることも多いのだが、狭く、エアボリュームも少ない車内にペットを乗せて、動物臭が残らないわけがない。また、マイカーに愛犬を乗せていると、飼い主はそのにおいに気づきにくいのも事実だ。つまり、慣れ。しかし、他人が乗車した場合、それは異臭に感じられるのである。

 では、車内のペット臭を除去するにはどうしたらいいのか? だが、その前に重要なのが、“ペット臭を残さない乗せ方”なのである。わが家の場合、愛犬の乗せ場所には、バスタブタイプのペット用ベッド(後席)や、後席シートバックから壁面まで覆ってくれるフルカバー(ラゲッジ)を装着している。どちらも合成皮革製で汚れにくく、においの付着も最小限、汚れてもぬれタオルでサッとふくだけできれいになるタイプだ。

 後席に装着するペット用のアイテムは、国産、輸入自動車メーカーの純正品としても用意されているが、オススメは、シートベルトで固定できるソフトクレート、または前後ヘッドレストに固定する、もしくはドア内張り部分まで覆ってくれる上記のバスタブタイプの愛犬用ベッドだ。

 じつは、ボクがプロデュースしたフォルクスワーゲンとボルボのバスタブ状の後席用ベッドは、後席にピタリと納まる、横長の箱状&底クッション付きの愛犬専用ベッドで、本体の素材は高級感ある合成皮革。意外に抜け毛が回り込む裏面にも合成皮革を使用し(ここもポイント)、抜け毛のからみなし。合成皮革ならではの清掃性の良さとともに、それがペットの安全対策に、さらに車内のペット臭対策にもなっているわけだ。もちろん、エアコンの風通し、前席の飼い主とのアイコンタクトを可能にする、前部の大きなメッシュ窓も採用。ボルボには小中型犬用のハーフサイズも揃っている。※ボルボの後席用ベッドは近日発売予定

 また、どちらも犬の乗降時に、二重になっているサイド部分を外側にたらすことができ(SUVの車高にも対応)、サイドシルの傷や汚れ、シートとサイドシルのすき間に落ちる抜け毛汚れ防止効果を備えている。空気中に舞った抜け毛はともかく、車内をほぼ汚さずに済む設計なのである。

 それだけでも、ペット臭はもちろん、車内の抜け毛汚れもほぼ防ぐことができるのだ。とにもかくにも、シートやラゲッジルームに何も敷かずに愛犬を乗せる行為をしないだけで、ペット臭は劇的に解消する。ただし、布地のカバーやバスタオルなどを敷く場合は、マメに、というか、1回乗せたごとに洗わないと、染みついたにおいが残り、放置したぞうきんのような悪臭が漂うから要注意。そのためわが家では、合成皮革、またはビニール素材のベッド、カバーにこだわっている。

 ただ、これだけでは空気中に漂うペット臭をシャットアウトできない。できれば、愛犬に着やすいドッグウエアを着用させて乗せると、ペット臭はもちろん、抜け毛汚れもかなりのレベルで防ぐことができるのだ。

ペット用の洗濯洗剤などもニオイ消しに最適

 さて、すでについてしまっているペット臭の除去についてだが、まずはペットのにおいが染みついているであろうカバーなどを車外に出し、必要なら洗濯。これも、ペット専用洗たく洗剤とペット専用抗菌仕上げ柔軟剤を使うのがポイント。一般的な衣類洗剤では、独特なペット臭は完全に落としにくいからである。わが家でも長年使っているが、ペット臭の落ち方は文句なしである。

 そして車内の徹底した掃除機がけと換気。換気は、晴れた湿気のない日に、安全な場所ですべてのドア、窓を開放し(最低限、窓だけ開けるだけでもよい)、紫外線を当て、風通ししてやるのだ。これだけでも、軽度なペット臭は気にならなくなるはずである。

 もし、シートや内装パーツに臭い・ヨダレなどが吸着しているなら、あとで愛犬がなめても安心なクリーナーを使って洗浄したい。例えば、アルカリ性電解水100%、ベビー用品にも使えるスプレータイプのクリーナー。これをタオルに取り、各部をふいてやるだけで、においの除去だけでなく、除菌効果もあるのだから、安心・便利。

 そこまでやっても車内のペット臭が残るなら、それは掃除機がけでは回収しきれていない、シートの下や座面と背もたれの間のすき間、シートとサイドシルの間のすき間に入り込み、落ちた抜け毛などが原因。そこはヘラの先にクラフトテープ(紙製のガムテープ)を巻くなどしてすき間に入れ、取り除くといい。

 逆に、車内のペット臭が気になるからと言って、絶対にやってはいけないのが、芳香剤によるマスキング消臭。かえって芳香剤のにおいとペット臭が混ざり合った、強烈なにおいが充満する可能性がある。犬は嗅覚(きゅうかく)に優れ、人工的なにおいに敏感。結果クルマ嫌い、クルマ酔いの原因になってしまうかもしれない……。

 ついでに言っておくと、愛車の下取り、売却時に「ペットを乗せていた痕跡」(抜け毛、ペット臭)があると、特殊なクリーニングが必要となり、数万円〜規模で減点、減額される。これまで、毎日のように愛犬を乗せていたわが家のクルマを売却する際、ここだけの話、「ペットを乗せていた痕跡」がバレなかったのは、そうした普段からの犬の乗せ方、クリーンアップの方法にあると思っている。

 さぁ、涼しく、湿度のない秋は、暑さと湿気が苦手な愛犬にとっても絶好のドライブシーズン。車内のすっきりさせ、万全の準備、装備でお出掛けください!