女性秘密結社ボンドの悪魔の手を握る少女(2018年12月2日撮影)。(c)LYNN ROSSI / AFP

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【AFP=時事】8歳のムス・カマラ(Musu Kamara)さんは、トタン製の掘っ立て小屋で膝を抱えて座り、秘密結社による儀式を待っていた。

 シエラレオネの首都フリータウン。カマラさんは2週間家を離れて、ボンド(Bondo)と呼ばれる女性秘密結社に参加している。ここでカマラさんは他の少女たちと一緒に大人になるためのしつけを受け、部族の義務を学び、儀式のための踊りや歌、精霊との接し方を身に付ける。そして、女性器切除(FGM、女子割礼)にも耐えなければならない。

 シエラレオネの子どもたちにとって学業を終えるということは、しばしばこの通過儀礼をへて、秘密結社に入ることを意味する。少年たちが入る男性だけの秘密結社はポロ(Poro)と呼ばれる。少年たちの儀式は数か月間に及び、背中にかみそりの刃で、精霊が少年をのみ込んだ印である「歯形」をつける儀式が行われる。

 一方、女性秘密結社のボンドでは、少女たちに陰核(クリトリス)の切除が施される。この習慣はアフリカ、中東、アジアなどで広く行われているが、現在では批判が高まっている。

 こうした通過儀礼は村の生活に深く根ざしており、人生の中の重要な時期として用心深く守られている。しかし、儀式に参加した子どもたちの多くは、心と体に傷を負う。

■秘密結社禁止を求める声

 他の西アフリカ諸国と同様にシエラレオネでも、秘密結社が部族的、政治的に重要な役割を担っている。秘密結社のメンバーは社会的地位と人々の尊敬を得て、部族長や政府の仕事に就く機会も開かれる。

 シエラレオネ大学(University of Sierra Leone)のジョー・アリー(Joe Alie)教授(アフリカ研究)は、全人口の90%以上が先祖代々続く秘密の儀式に関与していると指摘する。

 だが、秘密結社に関連する誘拐や死亡事例さえ発生したことを受け、政府に秘密結社の一時禁止を求める声が上がり始めた。現在は、本人の同意なく未成年者に儀式を行うことは禁止されており、また秘密結社のメンバーではない人々に対する差別は違法となっている。

 しかし、専門家らは、効果は薄いとみている。元閣僚で、女性器切除の禁止を求める活動家のルギアトゥ・トュレ(Rugiatu Turay)氏は、「シエラレオネには学校よりもボンドの方が多い…政治家は選挙で票を獲得するために女性器切除の儀式を支援しており、この習慣をやめさせるのはむずかしい」と述べた。

■「切除」がない新たな儀式

 それでも、女性器切除に対する非難の声によって、状況は変わり始めている。トンコリリ(Tonkolili)やポートロコ(Port Loko)といった場所では、新たな形の儀式が登場している。女性秘密結社のおさである「ソウェイ」が取り仕切ることは変わらないが、「切除」は伴わない儀式だ。

 この取り組みは、欧州人として初めてボンドに参加したスイスの援助活動家ミシェル・モロー(Michele Moreau)氏が始めた。モロー氏は「今では25人のソウェイが切除をやめると誓っている」と話す。

 これまでにトンコリリ地域で女性器切除を伴わない儀式を行った少女は、約700人に上っている。

【翻訳編集】AFPBB News