グリホサートは農薬「ラウンドアップ」の成分

写真拡大

◆世界各国が削減・禁止に動く中、日本は残留基準値を緩和

 昨年から今年にかけて、農民連食品分析センターが国内で販売されている小麦粉やパン、パスタなど小麦製品の農薬残留検査を行ったところ、そのほとんどから農薬の成分グリホサートが検出された。(参照:国内で販売される小麦製品の約7割からモンサントの除草剤「グリホサート」検出)

 国内産の小麦からは検出されていないことから輸入小麦に原因があると思われる。安全な農薬と考えられてきたグリホサートだが、2015年にWHOの専門機関(IARC 国際がん研究機関)によって発がん性物質に分類されて以降、世界各国はグリホサートの使用削減・禁止に動いている。そんな中で日本は何の対策もとらないばかりではなく、食品残留基準値を緩和しているのだ。

◆グリホサート生産量は2002年の約3倍に

 消費者にとってグリホサートは「除草剤耐性遺伝子組み換え作物」に使われる農薬「ラウンドアップ」の成分として知られている。日本では、1996年に遺伝子組み換え作物の輸入が解禁され、除草剤耐性大豆やナタネなど最初の遺伝子組み換え作物が食卓に上り始めた(食用の遺伝子組み換え作物は、消費者・生産者の反対が強いため、国内では栽培されていない)。

 それから20年が経過し、除草剤耐性大豆やナタネの栽培面積は拡大した。大豆の9割、ナタネのほとんどは遺伝子組み換えとなった。遺伝子組み換え作物の栽培拡大につれて、グリホサートの使用量も増大。2002年に5000万トンだった生産量は約3倍に増えている。

◆体内のグリホサート量増加は、食品からの摂取が原因!?

 除草剤耐性作物が増え、グリホサートの使用量が増えるにつれて、遺伝子組み換え作物の最大の生産国・消費国である米国では、健康への不安が高まっていった。

 特に、ハワイ州には4つの島(モロカイ島、マウイ島、オアフ島、カウアイ島)に1141もの遺伝子組み換え作物の屋外試験圃場がある。モンサントやデュポンパイオニア、シンジェンタなど、遺伝子組み換え化学会社の試験圃場が米国一多く存在する「遺伝子組み換えの島」なのだ。

 住宅地や学校など、生活の場の中に圃場があり、人々の住居や学校などと圃場の間には緩衝地帯もなく、フェンス1つで仕切られているような状態だ。1年中多量の農薬にさらされる住民たち、特に子どもたちへの健康への影響が懸念されている。

 グリホサートの使用量が増えたことで、実際に人が曝露する量は増えたのだろうか。

 カリフォルニア大学家庭医学と公衆衛生学のポール・ミルズ教授が1993〜1996年、2014〜2016年に、南カリフォルニアに住む50歳以上の高齢者の尿中のグリホサートを検査した。その結果、20年の間に尿中のグリホサート量は500〜1000%増加していたという(2017年「ジャーナルJAMA」より)。

 この増加が環境からの曝露によるものなのか、食品からの摂取によるものかは分かっていない。ミルズ教授は、食品からの摂取を疑っているという。

◆「子どもの体の異変はグリホサートの影響!?」と疑う母親たち

 グリホサートによる健康への懸念はハワイ州だけの問題ではない。「グリホサートの影響で、アレルギーや自閉症、ADHD(注意欠陥多動性障害)など、子どもの体に異変が起きている」と感じている米国の母親たちが、『Moms Across America』を結成。子どもの食事から遺伝子組み換え食品とグリホサートを除去するために、グリホサートの代替品を勧め、有機食材を選ぶ運動などを展開している。

 しかし、グリホサートが使われているのは遺伝子組み換え作物だけではなかった。1980年代から30年以上、小麦の収穫を容易にするために「乾燥」と呼ばれて収穫前に除草剤散布(プレハーベスト)が続けられてきた。その結果、小麦粉を使ったパンやパスタ、ピザなどからも残留農薬が検出されている。