欅坂46が19日、「夏の全国アリーナツアー2019」の東京ドーム公演を開催した。

 この日はゼビオアリーナ仙台公演(8月16日)を皮切りにスタートした全国5か所・12公演のツアーの千秋楽。ツアー前に右ひじを負傷、出演を一部見送っていた平手友梨奈が前日に続きステージに立ち、50000人の観客が興奮に沸き返った。
 

■東京ドームという舞台で見せた"到達"

 開演に先立つ"影ナレ"はキャプテン菅井友香、上村莉菜、そして7月の「欅共和国2019」からグループに復帰した原田葵の3人が担当。ほどなくメインステージの一点にスポットライトが当たり、平手が登場。中央に向けて静かに歩を進め、何かを掬う仕草を見せると、舞台上の階段を登り、グランドピアノの前に。ここで暗転、おなじみの「overture」が流れ始めた。

 


 場内ははすぐさまチームカラーである緑色一色に染まり、続けて「ガラスを割れ!」のイントロに合わせ、一瞬で赤に。曲間にも集団行動や時計や"時間"を強調したダンストラックが挟まり、平手がグランドピアノの上で踊るという斬新な演出も見られた。また、センターステージでの「Student Dance」では、「欅共和国」でファンに強い印象を残した水柱が高く吹き上がり、幻想的な雰囲気を醸し出した。
 
 

 

 アップテンポの楽曲が続き、「エキセントリック」後のMCでは菅井友香が息を切らせながら「いつも以上に緊張をしてしまって。昨日は本番直前にリップを壊してしまって」と笑いを取り、「しーちゃんはかなり緊張してたよね」と佐藤詩織に話を振った。すると佐藤は「待ちに待った東京ドームに立って、改めて1期生21人で…」と声を詰まらせ、「21人でお見立て会から始まって、その時はこんなに大きな場所でライブができるなって思ってなかってので、すごく感慨深くて」と、ファンや関係者に感謝していた。

 


 ここからはユニット曲も含む、バラエティに富んだ構成。2ndシングル「世界には愛しかない」では当時の制服で、また平手友梨奈が当時のスタイルを彷彿させるヘアアレンジで登場。ペンライトで青一色に染まる会場と、MVでも用いられた傘を使った演出もあいまって、懐かしさに胸がいっぱいになった観客もいたようだった。
 

 


 そして繊細な指先の動きや視線、表情にまでこだわりを感じさせる「二人セゾン」「キミガイナイ」「もう森へ帰ろうか?」を経て、ユニット「五人囃子(石森虹花・織田奈那・齋藤冬優花・佐藤詩織・土生瑞穂)」の楽曲「結局、じゃあねしか言えない」へ。自転車に乗って笑顔で花道を駆け抜けたメンバーが曲の終わりに指で「7」を示したことに、公演を欠席した織田奈那への思いを読み取った観客も少なくなかったのではないだろうか。

 

 セットリストは再び激しいダンスを伴う楽曲を休み無く、汗だくになりながらパフォーマンスへ。デビュー曲「サイレントマジョリティー」に続き「避雷針」「アンビバレント」「風に吹かれても」と、メンバーは観客の心配をよそに踊り続け、「避雷針」でクールな世界観を体現した平手は「アンビバレント」「風に吹かれても」では楽しそうに笑顔も見せた。また、「危なっかしい計画」では石森、藤吉夏鈴、そして小林由依が次々に「出し切れ!」「もっと声出るだろ!」と煽り、観客を大いに沸かせた。そして本編最後の曲「太陽は見上げる人を選ばない」でも1期生と2期生が顔を見合わせては笑顔を弾けさせ、小池美波は去り際に「みんな大好き!」と絶叫、観客の胸を熱くした。
 

 
 

 注目のアンコールは、前日にネット上で大きな話題を呼んだ「不協和音」。ライブでは"封印"されたかと思われていた楽曲の再演、しかも今までのどのライブよりも熱が籠もっているかに思える圧倒的な迫力に会場は逐一どよめき、まさに興奮の坩堝に。曲が終わって舞台が暗転しても、大きな歓声と拍手がしばらく止まなかった。
 

 この日はこれだけでは終わらなかった。センターステージにグレーの制服を着た平手が一人で現れると、悲鳴にも似たどよめきが。コンテンポラリーダンスとともにサプライズ的に披露されたのは、主演映画『響-HIBIKI-』の主題歌(未発売)「角を曲がる」。平手自身の心情を謳い上げたかのような楽曲に観客は静かに聞き入り、大半の楽曲でセンターを務め上げ、全力を出し切った達成感・疲労感、あるいは切なさもないまぜになったような表情で「ありがとうございました」と一言だけ発して深々とお辞儀する平手に暖かな拍手を送っていた。
 

■2期生の融合、そして継承

 今回のツアー、そして東京ドーム公演では、2期生も大きな爪痕を残した。

 MCでは合同オーディション合格から欅坂への配属、そしてこの日に至るまでの1年を思い思いに語った。松田里奈が「1年前は想像できなかったよね」と話を振ると、「不協和音」で長濱ねるのパートだった「僕は嫌だ!」を渾身の力を込めて叫んだ田村保乃が「アイドルがすごく好きで、欅坂も好きで。でも、いざ入ってみると色んなことがあって、葛藤した時間、人生で感じたことのない緊張もあって。特に今回のドームでは自分の中で色々思うことがあったけど、周りの皆さんやメンバーに、ほんとにほんとに助けられて前を向くことができた」と告白。
 

 森田ひかるは「私が欅坂を知ったきっかけは、CDショップに入ったときに『語るなら未来を』のMVが流れていて、そのまま足を止めてフルで見ちゃって。そこからファンになって、どんどん大好きになっていって、"私もなりたい"って思うようになって。それでオーディションを受けて、1年が経って、東京ドームでライブができている幸せ。本当にすごいことだし、一生忘れらない出来事になると思う」と感慨深げ。また、最年少で、『エキセントリック』で長濱ねるの「もう そういうの勘弁してよ」を担当した山崎天も「『サイレントマジョリティ』のMVを見て、私もこんなことができたらいいなって思った。入る前よりも、入った後、今のほうが欅が好き」と笑顔を見せた。

 一方、好きな楽曲について、武元唯衣と松平璃子は"自分らしさを出していいと背中を押してもらった"として「エキセントリック」。さらに武元は「セカアイ(『世界には愛しかない』)は、すごく前向きになれて心が晴れる曲。毎日聞いてから学校に行ってました」とも話した。

 これに対し、関有美子が「二人セゾンが大好きです。もちろん強く引っ張っていく楽曲もあるけど、落ち込んだ時とかに、一緒にしゃがみこんで背中を擦ってくれるような曲が多いなって。そんな存在でした。ダンスが苦手で、"踊れないし"と思っちゃってたけど、今は楽しくて、もっともっと上手になりたいと思うようになった」と話すと、井上梨名も「最近はあの曲も踊りたいな、この曲も踊りたいなと思うようになった」と応じた。
 

 松平がライブを10本こなした4月、5月を振り返り、「大変だったけど成長できた」と話すとおり、『欅坂46 3rd YEAR ANNIVERSARY LIVE』、『欅共和国』、そして今回の全国ツアーを経て、楽曲を確実に自分のものにしてきた2期生メンバー。過去のシングル曲の制服に袖を通し、卒業したメンバーのポジションに立つ姿は、1期生との融合だけでなく、継承をも感じさせた。

 MCで副キャプテンの守屋茜が「いつかドームに立てたらいいねって友香(菅井)と話していた」と明かした通り、誰もが目標とする大きな舞台での2日間を走りきったメンバー。その菅井の「感謝をお届けして、そして期待を持っていただけるような内容にしたい」との宣言を見事に達成した。同時に菅井は「また全員でここに帰ってきたいと思います」とも語っていた。次のシングルでは、初めての"選抜"制度が導入される欅坂の、次のはじまりのような千秋楽となったのではないだろうか。

text=編集部
photo=上山陽介
 

■セットリスト

Overture
M01. ガラスを割れ!
M02. 語るなら未来を…
M03. Student Dance
M04. エキセントリック
M05. 世界には愛しかない
M06. 青空が違う
M07. バレエと少年
M08. 制服と太陽
M09. 二人セゾン
M10. キミガイナイ
M11. もう森へ帰ろうか?
M12. 僕たちの戦争
M13. 結局、じゃあねしか言えない
M14. サイレントマジョリティー
M15. 避雷針
M16. アンビバレント
M17. 風に吹かれても
M18. 危なっかしい計画
M19. 太陽は見上げる人を選ばない
EN1. 不協和音
EN2. 角を曲がる