結婚を焦る30代後半の梅澤さんは、なぜなかなか結婚できないのか?(写真:asa/PIXTA)

“いつかは結婚できるだろう”と思っていて、気がついたら40歳を超えていた――。そんな男女が、今の時代はとても多い。社会が成熟していくと、個人の人権や尊厳が重要視されるようになる。“結婚してこそ一人前”という考え方は、もはや昭和の時代に置き去りにされた偏見に満ちた古き思想だろう。

仲人として婚活現場に関わる筆者が、毎回1人の婚活者に当てて、苦悩や成功体験をリアルな声とともにお届けしていく連載。今回は、「令和の時代に、時間を無駄にすることなく結婚する方法」について考えたい。

社会に出てから1度も恋愛していない

5月1日より元号が令和になったが、それと前後して、 “平成JUMP”という言葉がTwitterのトレンドワード1位となった。昭和生まれの人が未婚のまま平成を飛び越え令和を迎えてしまったことを“平成JUMP”と言うのだそうだ。

それはさておき未婚者の結婚観は、平成に入ってから大きく変わった。昭和の頃は、25歳を過ぎても結婚しない女性を“クリスマスケーキ”と言って揶揄した。クリスマスケーキは、12月25日を過ぎると値崩れを起こすからだ。

今の時代、男性が女性の前でそんな言葉を使ったら、直ちに「セクハラだ」と咎められる。会社の中で上司が部下に、「彼氏(彼女)は、いないのか?」「結婚はしないのか?」などと言ったら、大問題となる。訴えられることもあるだろう。


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平成の時代、結婚は他人に勧められることではなく、自らの意思で選択するものとなった。

しかし、“社会に出たら結婚して家庭を築いてこそ一人前”という図式が崩れ、自由に選択できる時代になったからこそ、“何が何でも結婚!”という気持ちが独身者から薄れていったのも事実だ。“いい人がいたら、結婚したい”とは思っていても、いい人はなかなか現れず、独身のまま年を重ねていく人たちは増えていくばかりだ。

先日、入会面談に来た梅澤真司(39歳、仮名)も、まさにそんな1人だった。身長175センチ、ガッシリとしたスポーツマンタイプだ。大学時代は柔道をしていたという。

「大学時時代は部活に明け暮れていました。4年で引退して、その後に1年ほど付き合った彼女がいましたが、就職してからはお互い忙しくなって自然消滅的に関係も終わりました。それからは、彼女らしい彼女はいません。新卒で入った会社がとにかく忙しかったし、気がついたら30を超えていました」

真司は大学を卒業後、工業部品の製造加工のメーカーに就職をした。業界では中堅どころで給料はまあまあよかったが、週休2日制ではなく土曜日は飛び石での出勤だった。

「その代わりにウイークデーのどこかで1日休みを取っていいことになっていました。でも、週休2日にすると、残りの5日は残業が必須になる。今でこそ“働き方改革”という言葉も生まれていますが、僕が20代、30代前半の頃は、長時間労働やサービス残業は当たり前の時代でした」

ウイークデーはみっちり働き、休みの日は14時くらいまで寝だめする。一人暮らしだったので、起きてからはたまっていた洗濯をしたり家の中を片付けたりして、夕方になると近くのスーパーに出かけ、食料や日用品を調達する。

「土日が休みの週は、土曜日に休んで日曜はチョロッと出かけたりしましたが、日曜しか休みでない週は、家から300メートル先のスーパーにしか行かない。あとは、家で体を休めることを考えていました。これじゃあ、出会いも何もあったもんじゃない」

もちろん誘われれば、週末の夜に合コンのような飲み会にも参加したことはあったが……。

「僕の恋愛経験は、大学時代の1回だけ。合コンに行って、“いいな”と思う子がいても、どう電話番号を聞き出していいのかわからないし、たとえ聞き出したとしても、デートの仕方がわからない。だからこそ果敢に恋愛に挑めばいいんでしょうけど、何しろ仕事が忙しいので休みの日は家でゴロゴロしたいという気持ちが勝ってしまう。社会人になってからは、恋愛未経験のまま年だけ重ねていきました」

「婚活」という言葉を周りが使うようになった

会社と仕事場を往復するだけの生活だったが、30歳を過ぎた頃から、“婚活”という言葉をよく耳にするようになった。

「メディアでも取り上げられるようになって、婚活がちょっとしたブームみたいになっていました。ただ自分は恋愛弱者だと思っていたので、そこに参戦しようという気持ちにはなれませんでしたが」

そうして忙しく働く日々だったが、35歳のときに工場の現場管理から品質管理の責任者へと部署替えになった。

「仕事が随分と楽になったんです。その部署の人たちは、既婚者も多かった。時間ができると気持ちにも余裕が生まれる。これを機会に、“婚活を始めてみたらどうだろう”という気持ちにもなりました」

また大学時代の友達から、突然結婚式の招待状が届いたことも刺激となった。

「たまに会って酒を飲んだりしていたんですが、彼女がいるとか、彼女ができたとか、そんな話は聞いたことがなかった。久しぶりに電話してみたら、『大手結婚相談所に入会して、そこで知り合った彼女と結婚することになった』って。結婚相談所に入るようなヤツではなかったので、びっくりしました。“ああ、みんな、見えないところで結婚するための努力をしていたんだな”と思いました」

そして結婚式に参列したときには、もっとびっくりした。

「“えっ、こんな女性も結婚相談所に入るのか?”というくらい美人でした。ただ、経歴紹介のときの2人の出会いは、結婚相談所ではなくて、“知人の紹介”ということになっていましたけど(笑)」

友人の結婚式に参列してから、結婚相談所にがぜん興味が出てきた。そこでネット検索をしてみたものの、どこを選んでいいのかわからない。また、恋愛経験のほとんどない自分が、何万人といるサイトの中から結婚相手を選ぶ自信もなかった。

そこで、タウン誌に載っていた昔ながらの結婚相談所に話を聞きに行った。

「そこの相談所は、月に2人の女性を紹介してくれるというシステムでした。いきなり大手に入るより、自分にはこういう手作り感覚の相談所が合っている気がしたんです」

月に2人、必ず女性に会えるというシステムもよいと思った。こうして始めてみた婚活だったが、お見合いをしても、その後が続かない。

「まずは“交際したい”と思える女性に出会えなかった。こちらが“いいな”と思っている相手とは1度か2度ご飯を食べると、そこで“交際終了”になるケースが多かったし。『交際終了の理由は何ですか?』と相談所の人に尋ねても、『話の波長が合わなかった』とか『フィーリングが違った』とか、理由がぼやけていて、自分の何を直せばいいのかもわからなかった。結局1年続けたけれど、“これじゃあ、永遠に結婚できない”と思って、そこの相談所は辞めてしまいました」

40歳を目の前にして…

それからは婚活することもなく、4年の月日が過ぎていった。しかし、40歳を目前にしたとき、“もう1度ここで真剣に動いて、結婚をしたい”という気持ちが芽生えたという。

「ここ1、2年のうちに結婚すれば、子どもを授かって家族が築けるかもしれない。人生のラストチャンスだと思ったんですね」

先述したように、昭和の時代は“結婚して家庭を築いてこそ一人前”という考え方が定着していた。しかし、今や結婚するかしないかは、個人の自由。

結婚しなかったからといって人生の負け組になると考えるのは時代錯誤だし、そうした考え方が根づけば、自分が生きていくために最も必要なものが最優先されていく。

「そうなんですよ。だから部署替えになるまで僕が最優先させていたのは、仕事でした。仕事でクタクタになるから、次の優先順位は休息。そこに無理やり恋愛や結婚を入れ込もうとは思えなかった」

しかし、40歳という年齢を目前に、ここで最優先順位を婚活にして、一気に結婚を決めてしまいたいと言う。

「時間をかけずに結婚を決めるには、どうしたらいいんですか?」

こう聞いてきた真司に、私は言った。

「まずは結婚を真剣に考えている女性と、数多く出会うことですよ。1カ月に2人では少なすぎる」

さらに、結婚することに前向きで、それに伴う行動がしっかりできる相手を選ぶことも大事だ。

「お見合いして交際に入る。LINEをしても、レスが返ってくるのが3日、4日後。1度食事をすると次に会うのが、3週間とか1カ月後。そういうお相手とは、まず結婚まで進みませんよ。

なぜならお見合いというのは、まったく知らない他人同士が出会うこと。いつも顔を合わせていて恋愛に発展し、交際に入る生活圏内の出会いとは、そこが大きく違うんです。まったくお互いを知らない2人だからこそ、出会ったときから時間をあけずにどんどん会って、お互いの人柄を知っていくことが大事なんですよ」

LINEを毎日送るべき理由

お見合い後、電話番号を交換し、男性から女性にファーストコールが入る。そこがお互いのテンションが上がっている状態。これからお付き合いを始めて、お互いを知っていこうという勢いのあるときに、「すいません。今月は忙しいので、来月に入ってからまたご連絡をします」と、会うまでに2週間も3週間も時間があいてしまっては、テンションが下がってしまう。1度下がったテンションは、もう上がらない。

「だから、動ける相手を選ぶんです。LINEもレスが早い人がいい。婚活中は毎日のLINEが必須ですよ」

こう言う私に、真司は驚きの声で聞いてきた。

「えっ!? LINEって、毎日しないとダメなんですか? 毎日、そんな書くこともないでしょう?」

これは、真司以外からもよくされる質問だ。そんなとき、私はいつもこう答えている。

「毎日入れていないと、逆にLINEを入れるタイミングがわからなくなってしまうでしょう? 『次にお会いするのは、○月×日の何時で』、と用件のみを知らせる業務連絡のようなやり取りをしていると、2週間会わなければその間は音信不通で、自分の記憶の中から相手が消えていくし、興味も関心もなくなっていく。でも、毎日LINEのやり取りをしていると、お互いの存在を確認することができて、テンションも下がらないんですよ」

「そうは言っても、毎日、何を書けばいいんですか?」

「朝起きたら、『おはようございます。今日はいいお天気ですね。お互い、仕事を頑張りましょう』、夜は、『1日お疲れ様でした。ゆっくり休んでくださいね』、そんな他愛のない内容で、いいんですよ。そして、会う前日は「明日、どこどこに何時でしたよね。楽しみにしています」とか。これが日記のように1日の報告をこと細かくするのは、もらったほうもかえってうるさいと思う。2、3行でいいんです。お互いの距離をあけない、気持ちのテンションを下げないためのツールだと思えばいい」

さらにLINEの返信が遅い人、1カ月のうちに1、2度程度しか会えない人は、ダラダラと交際を続けていないで、さっさと交際終了にしてしまうことも大事だ。

「好きで手放したくないというのなら話は別ですよ。でも、“いったいいつ会えるんだろう”“交際を続けていく気持ちはあるのかな”、そんなふうに相手に対して思っているのなら、交際終了にして気持ちに区切りをつけたほうがいい。会えない相手とダラダラつながっていたら、気にかけているぶん気持ちが重たくなる。それが婚活疲れにつながるんです」

最短距離で成婚するためのアドバイス

頷きながら聞いていた真司に、もう1つアドバイスを加えた。

「3カ月をワンクールにして、自分の婚活を見直してみるといいですよ。ビジネスを成功させるには、PDCAを回せというでしょう? 婚活も同じなんです。まずは、どの辺りをターゲットにして婚活していくか計画(Plan)を立てる。そして、実践(Do)してみる。実践してうまくいかなかったら見直し(Check)てみる。改善点が見つかったら、それを踏まえてさらに行動(Action)を起こす。期間を決めて婚活のPDCAを回していくことが、婚活疲れを起こさずに、最短距離で成婚できるポイントなんですよ」

私の話を聞いていた真司が言った。

「これまでの僕は、かなり無駄な時間を費やしていたんですね」

結婚をするかしないか。その選択が自由に選べるようになった今の時代だからこそ、本気で結婚をしたいなら、自分に合ったやり方を考える。時間は有限なので、ダラダラと無駄に過ごすのではなく的確に行動をして、短期集中で結婚を決めていく。

真司の結婚を、今後は仲人として見届けていきたい。