「食欲の秋」到来、意識したい“カロリーセーブ”の工夫とは

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連載「働く人の食事術」―気をつけたいカロリーの摂りすぎ

 忙しく働く大人世代が日常のパフォーマンスを上げる方法を“食”から考える「THE ANSWER」の連載「働く人の食事術」。Jリーグやラグビートップリーグをみてきた公認スポーツ栄養士・橋本玲子氏が日々のパフォーマンスを上げる食事術を指南する。

 9月を迎えて暑さが和らぐと、増してくるのが食欲。「食欲の秋」との言葉がある通り、食べ物がおいしい季節になる。しかし、秋になると、なぜ食欲は増すのか。体重維持のために気をつけるべきポイントとは――。橋本氏が栄養士の観点から助言する。

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「食欲の秋」がやってきました。日本の秋は言葉通り、おいしい山の幸・海の幸が豊富。街にはいも・栗・かぼちゃのスイーツが並ぶなど、食欲を掻き立てる食が充実しています。

「食欲の秋」という言葉は、体の機能からみても、いい得ています。食欲が増す理由の一つは、涼しく過ごしやすい気候になるとともに、暑さや夏バテで低下していた食欲が自然に回復するため。そしてもう一つは、秋から冬にかけて、自然と基礎代謝があがるためです。

 日本人の体は外気温が下がると、基礎代謝が上がります。これは、外気温が体温を保持できるように、熱産生が高まるため。じっとしているだけでも熱を造り出すので、夏よりも多くのエネルギーを消費します。すると体は使った分のエネルギーを補給しようと、「もっともっと!」と渇望するため、お腹が空くと考えられています。

 例えば、シーズン中のウィンタースポーツの選手は、他のスポーツ選手と比べると、炭水化物や甘いものを欲する頻度が高くなります。やはり寒い環境に身を置いているため、体が「エネルギーを作ろう」と代謝のターボスイッチが入るためです。チョコレートやおにぎり、ホットココアなどは、彼らにとって欠かせない補食なのです。

 とはいえ、アスリートは食べた分、体を動かしていますが、一般の人は食べる気持ちが勝って、消費カロリーはそれほど減っていないかもしれません。いくら体が渇望しているとはいえ、食べたい気持ちに任せては、いつの間にか、カロリーオーバーに、体重増加につながる可能性も大。しかも日本では「食欲の秋」であると同時に「実りの秋」。旬の食材も豊富です。

季節のおいしいものを味わいたい…少しだけカロリーセーブの工夫を

 果物や野菜では、リンゴ、ブドウ、梨に柿。かぼちゃ、さつまいも、栗がその代表。魚介類では秋が旬といわれる秋刀魚、ぶりといった魚も寒さに備え、体に脂肪を蓄えます。偶然かもしれませんが、秋は気が付かないうちに、糖質や脂質から多くのカロリーを摂取しているのかも知れません。

 秋は本当においしいものがたくさんあるので、食に携わる者としては、思う存分、季節のおいしいものを味わってほしい、というのが本音です。ですから、少しだけ、カロリーセーブをする工夫をしてほしい。例えば、朝昼はしっかり食べて夕飯は少なめにする。秋のスイーツが大好物ならば、油分の少ないものを選んだり、食事で油分を控えたり、などなど。おいしい食べ物を満喫するぞー! というポジティブな気持ちで、食事をコントロールしましょう。

 そうそう、過ごしやすい気候の秋は同時に「スポーツの秋」でもありますよね。月並みではありますが、やはり食べても動けばOKです! 平日は歩く距離を少しだけ増やしたり、休日はレジャーやスポーツで体を十分に動かしたりしながら、おいしいものを楽しんでくださいね。(長島 恭子 / Kyoko Nagashima)

長島 恭子
編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビューや健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌などで編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(共に中野ジェームズ修一著、サンマーク出版)、『つけたいところに最速で筋肉をつける技術』(岡田隆著、サンマーク出版)、『カチコチ体が10秒でみるみるやわらかくなるストレッチ』(永井峻著、高橋書店)など。